だが、それでも市場は驚かないだろう。
イニシャルクレイムが3週間で1600万人に達したことで次の雇用統計で「驚くべき」数字が出るのは予見可能だ。だから「驚くべき」数字が出ても-出るに決まってるので-「驚き」ではないのだ。
最悪期は「ショック直後」にもう来た
マーケットはこの先の経済の悪化を一気に織り込んだということだろう。リーマン危機の時は2007年のパリバショックのあたりからサブプライムローン問題が顕在化し始め、景気も雇用状況も悪化し出した。
それと平仄を合わせるように相場も下落し、08年秋のリーマン破綻とそれに続く市場の大暴落は、一連のクレジット・バブル崩壊劇のクライマックスだった。それまで1年以上の時間をかけ、そして労働市場のボトムまでさらに半年以上かかった。相場が底入れたのは09年の春だ。

そのプロセスを今回は一気にやってしまったということだろう。いうなればリーマン危機は金融機関が創ったバブル崩壊による金融機関の危機で、ある意味「普通の経済危機」だ。
それに比べるとコロナショックは、直下型地震のような災害である。ショックは突然に来たが、そのショックに襲われた直後で最悪期を迎えていると言える。
