日本人は知らない、本物のリーダーが抱くこの国への「危機感の正体」

伊藤忠元会長・丹羽宇一郎氏が語る
丹羽 宇一郎 プロフィール

部下を会社の資産とし、その能力を引き出すことで、社員に意欲を持って仕事をしてもらう。そのためにはどうするべきか。リーダーは「愛され、かつ恐れられる存在」となることです。

改めるべきは叱り、また良いところを伸ばすために褒める。そのためには部下との濃密な関係を築くことが必要です。

独身か所帯持ちか、またそのスキルや経験など、部下一人一人の力や人間性を把握することが上司には求められていると言えるでしょう。こう考えれば、一人の上司が掌握できる部下の人数はせいぜい、30~40人くらいだと思います。

中には部下に責任を押し付ける人もいる。部下を第一に考えられない上司は、恐れられても愛されることはないでしょう。

組織がこんな上司で活気を失っていないか。それを察知して、改めるのも社長の役割と言えるでしょう。

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―また、トップ営業は利益だけを求めてもうまくいかないと丹羽さんはかねがね語っています。

その通りです。ビジネスの背景にも「義理と人情」あり。グローバル時代の社長は世界中のトップとも風情のある関係を築く必要があります。

実はこれが効くのは日本人だけではありません。欧米やアジア、どの国のリーダーも義理と人情を大切にしています。言い換えれば、長い目で見ればビジネスは有形無形の「貸し借り」で動いているということです。

将来有望な事業をやっているのに窮地に陥っている。そんな時代にその企業を支援すると、後に大きく飛躍することもあります。この苦しい時に助けてもらった事は、将来、ご恩返しとして必ず姿を現すことでしょう。

 

「諫言の士」の不在

―日本企業は昨今、数々の不祥事に見舞われてきました。東芝の不正会計や、神戸製鋼のデータ改ざんなど、数えればきりがありません。

社長の周りにイエスマンしかいないからでしょう。私が社長だった時代は諫言の士が側にいてくれました。