「にゃ」は「ウチことば」

ことばには、人と人の心の距離を調整する機能があります。人間には心の中に「なわばり」があり、自分のなわばりの外側にいる人と内側にいる人を区別します。ことばもその区別に一役買っています。

そのもっともわかりやすい例が敬語とタメ語ですが、ネコ口調も相手との距離を調整するために用いられます。ネコ口調の場合は、決して真剣な場、フォーマルな場では使われないことを見ても、基本的には親しい間柄だったり、距離感を縮めたい間柄に用いられる「ウチことば」だと考えられます。ですから、ネコ口調の相手には親しみを感じやすいのだと考えられます。

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助動詞や終助詞の代わりに使える

次に、文法の側面から考えてみます。「にゃ」は面白いことに、「よ」「ね」「な」「の」「だ」といったさまざまな助動詞や終助詞の代わりに使えます。たとえば、「おいしいにゃ=おいしいよ」「行きたいにゃ=行きたいね」「うれしいにゃ=うれしいな」「明日来るにゃ?=明日来るの?」「楽しそうにゃ=楽しそうだ」のような例です。

また、「まだ未定ですにゃ」のように敬語と一緒に使うこともできます。また、「ニャンだって?=何だって?」のように、助動詞や終助詞以外の用いられ方もします。これは、レトリック的に、「な」行の音に通じるダジャレ的に使われているようです。

一般的に、「よ」「ね」「な」「の」のようなことばは、話し手と聞き手の関わり方を示すとされています。そこが単に「にゃ」に置き換えられているわけです。こうしたことばは、主に相手との距離感を縮めたいときに使われると考えられます。嫌いな人、距離をあえて置きたい人に「にゃ」などという口調は使わないのが普通でしょうから。