「クロネコヤマト」でおなじみのヤマト運輸がLINE上で利用者が荷物の配達状況などについて「にゃ」や「にゃん」などの「ネコ口調」で問い合わせると、人工知能を使ったシステムで、ヤマト運輸側からも「にゃ」などの「ネコ口調」でメッセージが返ってくるというサービスが話題になっています。これを見て「癒される」という人が続出しているようです。

twitterやブログなどのSNSでもこういったネコ口調でおどけた発言をしている人をよく見かけます。また、ネコ口調でメッセージのやりとりや会話をしているという夫婦や恋人の話も耳にします。

擬音語的なネコ口調は、山口(2002年)の研究によれば、なんと江戸時代にすでに存在しており、いくつかの文献に登場しているそう。しかも、現代よりも淫靡な響きがあったようです。

時代を超えて使われ続けるネコ口調ですが、実はこれ、コロナ禍で外出自粛が続く家庭内でのストレスを軽減するのにも役立つかもしれません。ネコ口調は、相手に対して距離を縮めたり、印象を変えたり、ものごとを柔らかく伝えるのに有効なのです。その理由を言語学的観点から紐解くとともに、家庭内でのコミュニケーションのストレスを和らげるためのポイントについてお伝えしていきたいと思います。

役割語・キャラ語としての「にゃ」

マンガや映画などで、博士や老人が「わしじゃ」「わからんのう」のような口調だったり、女性が「見ものだわ」「来るかしら」「やっつけておしまい」のような口調だったりしますが、このように人物像を描き出すことばは、言語学で「役割語」や「キャラ語」などと呼ばれています。役割語やキャラ語は、その口調を見るだけで聞き手が話し手の人物像を簡単に思い浮かべることができる非常に便利なことばです。

実際の人物が役割語・キャラ語を使うときも同様。役割語/キャラ語は、話し手が自分をどう見てもらいたいかを表します。ネコ口調の場合は、「甘えキャラ」などのようなネコっぽさを想像させるように見てもらいたい場合に使っているようです。文の最後に「にゃ」と付け足すと、ネコを想像させ、何だか和んだり、癒されたりするのも、「かわいい」「やわらかい」「和み」「癒し」といったネコに関連した特徴を演出できるからなのでしょう。