コロナ自粛の裏で、映画「ミッドサマー」にネットがザワつく理由

探偵不在の「探偵モノ」

高木です。不要不急の外出を控えての昨今、いかがお過ごしでしょうか? 今回のような形で自分の行動が制限されることは、人生を振り返ってみても初めてかも知れません。こういう変に時間のあるときには、子供の頃のどうでもいい思い出が蘇ってくるものです。

忘れられない「M君ブリーフ事件」

あれは中学一年生のときです。中学生に限らず子供というものは基本的に騒がしいものですが、私は極めて無口な少年でした。

席替えのたびに「高木くんの隣になった女子はどんなにお喋りな子でも三日で無口になる」などと担任にも言われ、たくさんのかしましい女子たちが私の隣にあてがわれ、無口になって去って行きました。

さておき、その日は最後の時間が担任の担当するロングホームルームでした。まもなく終業のベルが鳴ろうかという頃、クラスのお喋りが余りにもひどく、先生が怒り出しました。ここで先生が職員室に帰ってしまってあとで学級委員(私です)が謝りに行く、なんてこともその前にありましたが、このときはちょっと違いました。

授業が終わり、そのまま帰りの会に突入すると、先生は突然「お前ら全員正座しろ」と言い出しました。我々はどよめきながらも、指示に従って全員椅子をずらして床に正座します。先生は「職員会議に行ってくるから戻ってくるまで喋るなよ」と続け、教室から出て行きました。

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残された生徒たちは最初こそ沈黙していましたが、先生が去って一分ほどすると廊下側の席の誰かがこっそりドアから外を覗いて「いなくなった」と呟きます。途端に堰を切ったように周囲から話し声が立ちます。

「何だこれ?」「部活遅れる」そんなのから始まり、昨日見たテレビとかの話に及びます。何かよく分からない状況の中、何かよく分からない時間を無為に過ごします。その間、私は一言も口をききませんでした。誰かが自分に質問を投げかけてきても曖昧に頷くのみで、声を発しませんでした。

別に「先生の指示に従わなくては」と殊勝なことを考えていたわけではありません。その方が、後々選択の幅が広がるだろうという予測があったのです。先生が「口をきくな」と言ったということは、口をきいた場合に何らかのペナルティが発生するのは明白ですし、何を課されるか不明な以上、ここで人と話す理由など皆無です。

そして沈黙は私にとっては何てことのない日常でしたから、まあ楽勝でぼんやり空想の世界に浸っていました。