「何で離婚したのかな。うーん…強いて言えば、すれ違い、ですかね」と、梶山由利香さん(仮名・38歳)。

3年半の別居を経て、2年前に離婚成立。今、由利香さんは都内の実家で、11歳の娘と自分の父親と3人で暮らしている。
夫婦とも、浮気も暴言・暴力もギャンブルも借金もない。意地悪をしたりされたりしたわけでもなく、家庭に無関心だったわけでもない。どちらが悪いわけではなくても、結婚が壊れてしまうことはある。由利香さんと元夫は、なぜすれ違ってしまったのだろう。

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いま、「コロナ離婚」が話題を呼んでいる。新型コロナの危機感の温度差が明確になったり、コロナ自粛で長くいる時間が増えたことで互いへの不満が爆発したりということも原因になるようだ。つまりは価値観の違いが浮き彫りになるということだろう。

離婚と一言でいっても、様々な理由がある。たとえば、「浮気も暴力もギャンブルもない」結婚相手だけれど、価値観がずれていてお互いの思いがかみ合わず、一緒にいて辛い場合、結婚を続けなければならないのだろうか。今回インタビューに答えてくれた由利香さんは、自分で考え、一緒に結婚生活を送る努力をした上で、「父子」関係は継続させながら「夫婦」関係を解消することを選んだ。こういう離婚は果たしてワガママなのだろうか。
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上條まゆみさん連載「子どものいる離婚」今までの記事はこちら

ネガティブでヤキモチ焼きな彼

由利香さんは、くるくるっとした丸顔にぱっちり二重、人懐っこさを感じさせる笑顔がキュートな女性だ。兄と姉がいる3人きょうだいの末っ子で、都心に近い住宅街に生まれ育った。短大を出て商社に就職。天真爛漫な末っ子キャラで、家庭でも職場でもムードメーカー的存在だった。

23歳だったか、友だちと飲み屋にいるとき男性に声をかけられた。1歳年上でメーカー勤務の会社員。それが、元夫。
「ま、ナンパですよね(笑)。若かったからノリで連絡先を交換し、そのまま3年付き合って結婚しました」

飲み屋で知り合い、付き合うように(写真の人物は本文と関係ありません) Photo by iStock

実は交際期間中、何度も別れ話が出たと言う。
「食べ歩きや旅行が好きだったり、二人でスノボに夢中になったり、楽しいことでは気が合うんです。でも、元夫はネガティブでヤキモチ焼きなので、ちょっとしたことでとたんに雲行きが怪しくなる」

たとえば元夫は、自分がいないところで由利香さんが楽しむことが気に入らない。由利香さんが会社のグループで遊びに出かけたときに限って「具合が悪い」などと連絡してくる。
「そう言われるとこっちも気になって、様子を見に帰るじゃないですか」
繊細で、自分が心を許した人以外は敵だとみなすメンタルも由利香さんとは対極で、そこも「合わないなーと感じていました」

別れ話を出すたびに引き止められ、よりを戻すの繰り返し。にもかかわらず結婚を決めたのは、なんだかんだで3年も付き合った情があったから。
「うちの家族とも仲良しで、一緒に旅行に行くような関係でした。あるとき『あらためて君の親に挨拶させてほしい』と。それが実質のプロポーズになりました」