つながることを諦めない

緊急事態宣言が現実味を帯びてくる中、面接相談を休止する代わりに、電話相談とオンラインを使った遠隔対面相談を取り入れることにした。相談者がその時に相談室に運んでくる空気感ですら、「あ、今日は気分がよさそうだな」「あれ、この1週間で何か困ったことがあったのかな」と、カウンセリングの大事な手がかりにする私たちにとって、相談者の姿が見えない電話相談や、オンラインの対面相談は、得られる情報に制限があるだけでなく、相談時間を立体感のあるものにしづらくなる側面がある。セキュリティの心配だってある。どちらかといえば、私はこれまで、そういう相談形式には消極的なところがあり、実際、距離をとってきた。

でも、発想の転換だ。今はつながっていること、つながるためのロープを垂らしておくことがなにより大事。発想の転換、いや、そんな生ぬるい表現ではなく、マインドセットをくるっと転換させて、今できる最善を考えることだ。

ただ、「これまでのつながり方を変えます、別の方法でつながりましょう」と伝えても、相談者の側が、「電話やオンラインで話すのはあまり得意じゃないのに」「急にそんなことを言われてもどうしたらいいのか、わからない」と、関係の取り方の変化に不安を訴えてくることは考えられる。実際、面接相談の代替措置として、電話相談やオンライン対面相談を開始すると案内しても、すぐに「お願いします」とはならなかったりする。だが、少し日数がたってから、「やっぱり電話でもいいから、話がしたい」「オンライン相談をしたい」と、そんな声が出てきてくれることもある。そういう状況を大いに歓迎しながら、一人にならず、家族の中だけで抱え込まず、限りはあるかもしれないが、今できる範囲で用意されている支援や資源につながってほしいと願うばかりだ。

この先、この状況がどのくらい続くのかは、だれにもわからない。長引くばかりの時間が続けば、いろんなものが持ちこたえられなくなってくるだけでなく、苦境を通り過ぎた後になって、どっと後遺症があらわれてくるのは想像に難くない。その時のためにも、つながることを諦めない。そう思いを強くしている。

すぐ近くにいる。ひとりじゃない。それを忘れないことが大切だ Photo by iStock