本来は遠隔操作と真逆なことが重要だけど

今、当たり前の生活が送れなくなり、新型ウィルスにいろんなものを分断された私たちにできることがあるとすれば、だからこそ、つながることを諦めない、その一点に尽きるように思う。

心理支援の現場が厳しい現実にさらされ始めていると書いたが、実は、忙しさに忙殺されるのとは別の形で、機能不全を抱え始めている。

先月頃から、面接での心理相談を一時休止する相談機関が出始めたのだ。私自身も今月に入ってから、大学の休校にともない、面接相談を当面休止すると決めた。苦渋の決断だ。メンタル不調が増えることがわかっているのに、私たち心理職へのニーズがそこここに転がっているのがわかっているのに、相談業務をいったんストップしなければならないなんて、想像もしなかった。

だが、多くのカウンセリングルームは「3密」のうち、密閉、密接の2つの密を満たしてしまう構造になっていることがほとんどだ。「ふだんから相談者との間に社会的距離を保っています」なんて相談室はおそらくないだろう。じゃあ、ドアや窓を開け放したまま話ができるかといえば、それはもちろんNOだ。その中にあって、面接相談を続けることの是非に、今この瞬間も頭を悩ませている仲間たちが大勢いる。

直接顔を見て、表情をみて、それから感じることは多い Photo by iStock

もちろん、感染防止対策を十分にとった上で面談を続けるという方法もある。特に継続カウンセリングが必要な場合、それを中断することは、カウンセリング効果に大きく影響するからだ。ただ、もしカウンセリングを続ける中で、相談者や相談スタッフに感染者が出たら、守秘義務を一部解除して、保健所等に情報を提供することが必要になる場合がある。守秘が前提だからこそ、相談者は安心して相談ができるのに、新型ウィルスはそこまでも打ち破ろうとしている。悔しいが、そんなリスクのある状況では、結局、相談者の心身の安全を守れない。それが、面接相談を一時休止にした背景にある。

常日頃から「『話す』ことは『放す』こと、気持ちの荷物を手放して、少しでも身軽になるところから、これからのことを考えませんか」「一人で抱え込まずに相談してください」と伝え続けている私たちが、面接相談をとめ、結果、相談者にその悩みを一人で抱え込ませる時間を作ってしまうことは、身を裂かれるのにも似た痛みを伴う。

だからこそ、つながることを諦めたくない。