新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月7日に緊急事態宣言が出された。3月25日に小池百合子都知事が「感染拡大の重要局面」と会見したときに「一気に増えた」といって41人だった東京都の感染者が、4月9日には180人を超えた現実が目の前にある。

国や自治体の「禁止措置」は厳格なものではなく、ひとりひとりが意識を持って「外出自粛」「密を避ける行動」をしなければならない。そんな中、不安の広がる今こそ重要で、「密」がとても大切な役割を果たす職業がある。それが心理カウンセラーだ。大学のスクールカウンセラーもつとめる臨床心理士の西脇喜恵子さんに、もどかしい現状と、そんな今、私たちも忘れたくない大切なことを聞いた。

みんな心が疲れている

いよいよ緊急事態宣言が発令され、仕事の一部を在宅ワークに切り替えた。全国の多くの学校が休校に入った3月初めから、家で過ごす子どもたちを尻目に毎日粛々と定時通勤を続け、もしかしたらすでに無症状キャリアになっている可能性まで念頭に置きながら電車やバスに揺られてきた。その時間が、今回少し減ることになり、それだけでも、気持ちの上では、緊張感からずいぶん解放されるものだと、逆に言えば、それだけ気を張った毎日を過ごしているのだと、そんなことにあらためて気づかされた。

そう、今、私たちは先行きの見えない閉塞感の中で、ストレス状況にさらされる日々を送っている。最近、「リモートワークに切り替わったものの、なかなかやる気が起きない」とか、「ちょっとしたことなのに自分一人では判断できなくて、いちいち人に聞いてしまう」とか、「不安が大きすぎて、一人で家にいる生活は続けられない」とか、そんな声を聞くことが増えてきた。これはまさに心が疲れているからにほかならない。いわば、ストレス反応だ。

ストレスを感じるのは当然のこと Photo by iStock

ストレス反応は、ほかにも倦怠感や頭痛、腹痛など、体調の変化にあらわれたり、いつもより悲観的な考え方ばかりしてしまうといった思考の変化にもあらわれたりする。ついイライラして子どもに声を荒げてしまう、何をしてもつまらない、生活にメリハリがない、眠っても疲れがとれないといったようなことも、ストレスが引き起こした心身の変調ととらえることができる。

かく言う私も、「こんな時だからこそ、家族との時間を大事にしよう」「こんな時だからこそ、元気出していこう」と頭では思っていても、ほんの些細なことをきっかけにギスギスした空気感を自ら生み出しまうのが現実だ。