4月10日に朝鮮中央通信が公開した、砲撃訓練を指導する金正恩氏の写真(同公式サイトより)

「コロナ感染者ゼロ」と言い張る北朝鮮が、ミサイル連射に躍起の理由

金正恩が企てる「逆・斬首作戦」とは何か

※2020年4月12日朝の朝鮮中央通信の報道を受け、同日正午に一部追記しました。

「平壌は封鎖状態」の情報も

4月11日、労働新聞など北朝鮮の官営メディアは、前日の4月10日に平壌で開かれるはずだった最高人民会議の結果について沈黙した。

新型コロナウイルス問題は、やはり北朝鮮も無関係ではいられないようだ。最高人民会議常任委員会は3月20日、最高人民会議第14期第3回会議を4月10日に平壌で開くとする決定を発表していた。だが、代議員だけで687人を数える最高人民会議を開くのは簡単ではない。防疫措置として平壌は完全に封鎖されているとの情報もある。

北朝鮮は依然、新型コロナウイルスの感染者は発生していないとしているが、集団感染を恐れて会議を延期した可能性が高まっている。

朝鮮中央通信は12日朝、金正恩氏も出席して朝鮮労働党中央委員会政治局会議を11日に平壌の党中央委員会本部庁舎で開いたと報じた。そこでは実妹の金与正(キム・ヨジョン)氏や李善権(リ・ソングォン)外相を政治局員候補に選ぶことや、新型コロナウイルス対策の徹底などについて協議したという。ここでは最高人民会議に提出する予算や決算、幹部問題についても討議したとしており、いずれ最高人民会議が開かれることを示唆した。

その一方、朝鮮中央通信は10日、金正恩朝鮮労働党委員長が朝鮮人民軍の軍団別迫撃砲兵区分隊の砲撃訓練を指導したと報じた。正恩氏は「まるで砲弾に目が付いているように命中する。今日は本当に気持ちがよい日である」と言って喜んだという。金正恩氏は最近、軍事分野の活動を繰り返している。非常時だからこそ、軍事活動に余念がないとも言えそうだ。また朝鮮中央通信は12日も、金正恩氏が西部地区の空軍演習を視察したと報じた。

北朝鮮は今年に入り、3月2日、9日、21日、29日にもそれぞれ短距離の弾道ミサイル・ロケットを発射している。朝鮮中央通信が発射翌日にその概要について報じたが、これらの報道を詳しく見てゆくと、幾つもの興味深い点が浮かび上がる。

 

まず、3月2日と9日の発射は、「朝鮮人民軍前線長距離砲兵区分隊の火力攻撃訓練」とされている。金正恩朝鮮労働党委員長が両日ともに視察して、「前線長距離砲兵が戦闘任務を完璧に遂行する準備ができている」と語ったという。

北朝鮮が公開した2日と9日の火力攻撃訓練のものとする写真には、口径が240mmや600mmとみられる多連装ロケット砲が多数写っていた。

韓国の軍事専門家によれば、北朝鮮は1960年代から多連装ロケット砲の本格的な開発を進め、口径の大型化と射程の長距離化を進めてきた。これまでの主力兵器だった口径240mmでは射程60km、同300mmなら射程200kmと評価されてきた。600mm多連装ロケット砲は昨年、初めて発射された新兵器だが、射程は380kmに及んだ。

従来、240mm多連装ロケット砲はソウルを、300mm多連装ロケット砲は在韓米軍基地があるソウル南方の京畿道(キョンギド)平沢(ピョンテク)や烏山(オサン)を狙う兵器だとみられてきた。

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