4月14日 ヒトゲノムの解読完了宣言(2003年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

2003年の今日、ヒトのDNAを構成するすべての塩基配列が解読されたことが、アメリカ、イギリス、日本など6ヵ国からなる研究チームによって発表されました。

これにともなって、国際的プログラム「ヒトゲノム計画」の完了が宣言されました。

ヒトゲノム計画とは、人の遺伝情報を内包するヒトゲノムをすべて解読してしまおうという、壮大な計画です。これについての議論は、1980年代後半から盛んになっていました。なかでもこの計画を実行に近づけたのが、イタリアのウイルス学者レナート・ダルベッコ(Renato Dulbecco、1914-2012)です。

 
レナート・ダルベッコ Photo by Getty Images

1975年にがん細胞の増殖についての研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した彼は、1986年に、がんのメカニズム解析のためにヒトゲノム解読を提案したのです。これ以降、世界各地の研究者の動きはさらに活発になり、ヒトゲノム計画は実現に大きく近づきます。

1998年、ヒトゲノム機構(Human Genome Organisation:HUGO)が設立されました。設立者は、DNAの二重らせん構造の発見でも名高いジェームス・D・ワトソン(James Dewey Watson、1928-)です。そして彼を中心に、1990年から正式にヒトゲノム計画の研究がはじまりました。

DNAの二重らせん構造 Photo by Getty Images

日本でも1991年ごろから研究が本格化し、1998年には理化学研究所ゲノム科学総合研究グループが開設されます。2000年には、ヒトの21番染色体の解読や、ヒトゲノムの総遺伝子数がかつての予想の半分以下だと推定した内容を含む論文を発表しました。

発表された論文内の図表(一部) Photo by 理化学研究所ゲノム構造情報研究グループ

計画では当初、2005年を目安にヒトゲノムの解読を発表する予定でしたが、技術の進歩や民間企業との競合により予定を大きく前倒しします。そして、2001年には配列の草案を発表し、さらに精度をあげて2年後に解読を完了しました。

現在でもさまざまな生物のゲノム解読が進んでおり、その総数は何千にも及びます。また、ダルベッコが望んだように、世界中でがん治療への応用が試みられています。

ちなみに、ヒトゲノムの全容はアメリカ国立医学図書館からダウンロードできます。