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本当に東京で大丈夫? 「コロナ危機で五輪延期」に漂う奇妙な気配

アスリートの声が聞こえてこない

「なにやってんだ、山下」

テレビのニュースを見ながら、思わずつぶやいてしまった。

「JOCは決定権がない」「ずっと蚊帳の外だった」――。こんな言葉が、東京オリンピック/パラリンピック(以下、五輪)の延期が決定されたあと、現職のJOC(日本オリンピック委員会)会長であり、ロス五輪(1984年)では手負いながらもモハメド・ラシュワン(エジプト)との決勝を制し金メダルを勝ち取った、あの山下泰裕の口からこぼれてきたのだ。

五輪は2021年7月23日まで延期された。その決定に際して、柔道史上に名を残す世界の山下の居場所はなかったということだろうか。IOC(国際オリンピック委員会)、日本政府、五輪組織委員会、東京都の間で行われた協議に、JOC会長は口を割って入ることができなかったということだろうか。

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延期したのにまた真夏

延期を提案したのが森喜朗五輪組織委員長なのか、安倍晋三首相なのか、トマス・バッハIOC会長だったのかは、根本的な問題ではない。

東京都とIOCが交わしている開催都市契約文書には、延期にかかる保証や分担金などの具体的な事務的規定は書かれていないからだ。

 

森組織委員長はIOCに延期にかかる費用を要求すると言っているが、いずれにせよ、負担金の一部はごっそりと国民の肩にかかってくるだろうし、一業種一社の原則を破ってリスク分散をしなかった協賛企業は予算の見直しを迫られることに変わりはない。苦難とさらなる混乱が待っている。