外出禁止令が出されたと聞くと、何か恐ろしいことが起こっているというイメージが付きまといがちになる。だが、実際に1ヶ月近く自宅に閉じこもって生活してみると、困難なのはコロナウイルスという見えない恐怖ではなく、むしろ単純に外出できないことだということが分かってきた。
明るいニュースも少ないため気持ちはふさぎ込みがちになるが、気晴らしのために外出することはできない。ショッピングやレストランはおろか、陽の光を浴びに散歩することもできないので、家の中で意識的に楽しみを見つけていく必要がある。
たいていの場合、それは食事か週に1回程度の買い物になる。Twitterの海外在住者の間で「#外出禁止を乗り切るメニュー」というハッシュタグが登場し、料理のアイデアを交換し合うという動きが生まれたのは、こうした事情と決して無関係ではないだろう。
普段は忙しくてパスタをさっと茹でるだけだった我が家の食卓にも、最近は煮込み料理やオーブン料理の登場回数が増えた。いずれも材料を放り込んで、仕事など別のことをしながら待つ時間が楽しい料理だ。また、ピザを生地から作ったりうどんをこねてみたりと、普段はなかなかできない料理にチャレンジする機会も多くなった。