# 新型コロナウイルス

「アジア人差別」「医療崩壊」は本当か?イタリア在住者のリアル

報道だけではわからない、その日常
鈴木 圭 プロフィール

医療機器不足の病院を地元企業が救った例もある。イタリア北部のロンバルディア州ブレシアでは、スタートアップ企業が人工呼吸器用のC-PAPマスクの代わりとして、フルフェイス型のシュノーケル用マスクを使用するというユニークなアイデアを考案。マスクと呼吸器をつなぐバルブを3Dプリンタで製造し、要請のあった病院へ提供している。

ちなみにこのフルフェイス型のシュノーケル用マスクは、2019年3月に日本にも進出したフランスの大手スポーツブランドのデカトロンのものが使われた。同社ではその後、10,000個のシュノーケル用マスクを地域に寄贈している。

Photo by Gettyimages

こうしたイタリアの報道を見ていると、感染拡大により医療現場が緊迫しているのは事実だが、その一方で、増え続ける患者に対してあの手この手でなんとかしのぎ続けているという実態が見えてくる。少なくともイタリアの報道の中には、「危機」という言葉はあっても「崩壊」という言葉は見当たらない

「医療崩壊」という言葉はセンセーショナルで、多くの人の目を引く。しかし安易に使うと、急増する感染者数や疲弊する現場ばかりが注目され、毎日必死になって戦う医療従事者の姿が見えにくくなる。その結果、見えない恐怖に対する不安や恐怖ばかりが先立ち、パニックや差別の原因にもなりかねない。

特に現在は非常時だ。人の目を引くためとはいえ、安易にセンセーショナルな言葉を使うのは、無責任と言えるのではないだろうか。

食料品や日用品は十分に手に入る

日常生活にも目を向けてみたい。

イタリアは3月11日以降、必要のない外出は全て禁止された。これは「自粛」ではなく「命令」で、違反者には400ユーロから最大3000ユーロの罰金が課される非常に厳しい措置だ。ただ、食料品の買い出しや医療サービスを受けるための外出、また犬の散歩などは必要不可欠として許可されており、街から人の姿が消えたわけではない。

企業の多くは営業停止もしくはテレワークに切り替わっている。ただ、スーパーや薬局、また生活必需品を生産する一部の企業は現在も営業を続けているため、通勤する人の姿もある。そのため、公共交通機関も本数は少ないが運行している。

 

スーパーでは店内に人が密集しないよう入場制限を行っている。一度に入店できる人数を減らしているため、入店までに1時間近く待つこともしばしばだ。ただ、いったん店内に入ると人が少なく、快適に買い物ができる。

現在は生活必需品以外の販売が禁止されたため、園芸用品やカー用品など一部の品物は在庫があっても買えなくなった。ただ、食料品や日用品に関しては品不足もなく、肉や野菜などの生鮮食品、パスタ、缶詰などの保存食、トイレットペーパー、ハンドソープなど必要なものはたいてい手に入る。外出禁止令が出された直後はパスタや小麦粉などが一時的に品薄になったこともあったが、数日ほどで解消されている。

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