# 新型コロナウイルス

「アジア人差別」「医療崩壊」は本当か?イタリア在住者のリアル

報道だけではわからない、その日常
鈴木 圭 プロフィール

「医療崩壊」報道はどこまでが真実か?

こうした報道への違和感は、アジア人差別に限ったものではない。イタリアはヨーロッパの中でも新型コロナウイルスの感染拡大時期が早く、日本のメディアに取り上げられることも多かった。

ニュースを見てみると、その見出しの多くに「医療崩壊」という言葉が、まるで判を押したように付与されていることに驚く。感染者の急増により医療現場は対応しきれなくなり、人工呼吸器も不足している。疲れ果てた看護師は机に倒れ込み、多くの医療従事者がコロナウイルスに感染している。ざっくりまとめると、そんな内容の報道だった。

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もちろん、こうした一つひとつのニュースは事実に基づいたものだと思う。

4月4日の段階で、イタリアの感染者数は119,827人、死者数は14,681人にのぼる。感染者数は米国に次いで世界で2番目に多く、状況は決していいとは言えない。だが、この状況に対してイタリアの医療現場が何もできず、ただ手をこまねいていたわけでもない。

 

臨時病棟に医療従事者の増員、医療現場の取り組み

3月30日には、ミラノ市内にヨーロッパ最大級となる200床の集中治療室を備えた臨時病棟が完成した。感染拡大により中止となった国際家具見本市の会場を医療施設に改装したもので、建設にかかった時間はわずか10日。500人の建設員が24時間3交代制で作り上げた。200人の医師と500人の看護師、200人の専門家が治療にあたる見込みで、イタリアのコロナウイルス治療の象徴的な存在になると期待されている。

さらに、イタリアのマンフレディ大学・研究相は医学生の今年の医師試験を省略することを表明。これにより本来より8〜9ヶ月早く、1万人の医師が確保できる見通しだ。また、すでに引退した医師の復帰も呼びかけられており、医療従事者を確保するための取り組みが続けられている

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