銀行内部の不正を描く『半沢直樹』。2013年にドラマ化され社会現象となり、今年続編の放送も決定している。「半沢」シリーズの魅力といえば、金融業界の泥沼な権力争いの描写。だが、実際のところはどうなのか――。元メガバンク支店長であり現在は講演活動を中心に活躍する菅井敏之さんに解説してもらった。
コミックス第1巻好評発売中!人気小説を本格コミカライズ
マンガ版『半沢直樹』第1話はこちらから
――菅井さんは1983年、半沢直樹より6年前にメガバンクに入行されました。
今はもっと雰囲気が違うのかもしれませんが、私が働いていた時は、『半沢直樹』作のような雰囲気がありました。銀行はお金を扱うから、人間の本性が出やすい場所。もともと上昇志向の強い、高学歴な人間が集まりやすい。
半沢のような熱いハートを持ちながらクレバーでもある人はほとんどいませんが、半沢の務める大阪西支店の浅野支店長のような、結果を出したいがリスクは負いたくない、という人は普通にいました。
そういった人間の権力争い、関係性はドラマが生まれやすい。
実際、浅野支店長の強引な指示で5億円を融資した西大阪スチールは、わずか3か月で倒産してしまいます。この融資を半沢1人に押しつけようとする浅野支店長。そんな状況の中、「国税の査察調査」が行われます。国税の登場以降、半沢は急いで西大阪スチールの東田社長を探し出そうとします。