民主的な国ほど、封じ込めに成功している

アヤさんの話から、ある社会学者の言葉を思い出した。
「民主的な国ほど、コロナウイルスの封じ込めに成功している」
まだ完全に封じ込めたとは言えないかもしれないが、ドイツや台湾などだ。韓国も比較的早くに対策が進んだ。そのことは、国の規模感や、もともとの医療環境の充実や、例えば台湾がSARS封じ込めの経験もあるなどほかにもさまざまな要因はあるに違いないが、うまくいっている国に学ぶところは多いはずだ。

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人口10万人あたりの集中治療室のベッド数の少なさなど、脆弱ともいえる日本の医療環境に私たちは驚かされた。そんなハンデを背負った環境の中で日本の医療従事者は何とか持ちこたえようとしてくれている。このことを私たちは忘れてはいけない。

カナダも、踏みとどまっている。そうアヤさんは見ている。
「バンクーバーは日本と違って総合病院が少ないので、重症の感染者を収容する場所がこれから必要になってきます。総合病院で感染者を収容し、軽症患者はホスピスに移ってもらうようにするようです。すでに、2ヵ所のホスピスがそのための明け渡しを終えました」

ホスピスの患者たちは自宅に戻すが、そこでは専門のスタッフがそれぞれについて家族とともに臨終に寄り添う。

「みんな大変。だから一緒に切り抜けましょうという気持ちになります」
このように前向きになれるのは、トルドー首相の求心力も大きいのではないか。ほぼ毎日、朝のラジオでコロナウイルスの感染状況を説明し、さらに一般人との質疑応答にも答えているという。ソフィー夫人はコロナウイルスに感染し先ごろ退院したばかり。感染を経験している家族なのだ。

カナダのトルドー首相。レインボーパレードに参列し、常に心のあるメッセージを発信している Photo by Getty Images

「日曜日は子どもたちの質問にも答えます。彼は自分にも子どもがいるし、元々小学校の先生だったからでしょう。とても話がうまく、説得力があります」

そう話すアヤさんの亡き父は高校教師だったそうだ。日本には、母親や兄、妹の家族がいる。
「今年、母の米寿の祝いをしたかったのですが、日本には当分帰れないと思います。日本にいる家族には、お互いとお互いの家族を大切に悔いのない人生を送りましょうと伝えています」

アヤさんは遠いカナダで看護師の使命を果たしながら、日本に平穏が訪れることを心から願っている。