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コロナウィルスはこうして「凶悪化」してきた…感染症社会の21世紀

爆発的流行は今後も起き続ける

1980年代に起きた大転換

現在の日本で「新型コロナウィルスの流行」と呼ばれているものは、世界ではCovid-19と呼ばれている。読み方は「コーヴィド・ナインティーン」。言語的には英語である。「2019年に発生した、コロナウィルスによる疾病」 (Coronavirus-disease 2019) という意味である。

名称から時系列でとらえることができるし、将来的には2020年の「東京オリンピックがあるはずだった年」と結びつけて思い出すことができる。さらに、その時期は他の国ではどうだったのか、医学はもちろん、政治、経済、社会、文学、芸術など色々な要素と関連させて考えることができる。

感染症をめぐる考えは1980年頃に世界で大きく変わった。それまでは楽観的で、ウィルスが起こす天然痘が撲滅されたことが祝されていた。公衆衛生の医師たちが「感染症の教科書はもういらない」と言っていたという神話まであった。

しかし、1970年代から80年代にかけて、これもウィルスが起こすHIV/AIDSという性感染症が爆発的に増加して、感染症が再び大流行をはじめた。感染症に対する見方が根本的にかわり、感染症の過去の研究や、現在と未来に関する議論がさかんになされるようになった。この文章では、その流れにのって、おもに21世紀のウィルス、それもコロナウィルスが起こした感染症を国際的に比較して、その未来について考える。

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20世紀、コロナウィルスはどう扱われていたか

21世紀の「ウィルスの世界史」を見ると、病原体が世界各地で大きな流行を起こしていることがわかる。2003年の SARS、2009年の豚インフルエンザ、2012年の MERS、2014年のエボラ熱、2016年のジカ熱、そして2019年から現在の Covid-19 というように、感染の流行が世界各地で非常に頻繁におきているのだ。その中でコロナウィルスが起こしたものは三回、2002年のSARS、2012年の MERS、そして現在のCovid-19である。

そもそも「コロナウィルス」という単語が新たに作られたのは1968年11月のイギリスの科学雑誌 Nature の論文においてである。「コロナ」というのは、もともとはギリシア語の「王冠」の意味で、それが19世紀には天文学の分野で使われる概念となった。天文学において「コロナ」とは、太陽の周りに現れる光冠を指し、セ氏100万度以上の超高温のガスの意味。皆既日食の折には、幽玄に現れて感動を与える。