2020.04.14

コロナショックで「敗北」している日本企業と欧米企業の決定的な差

危機のときこそ「ESG思考」が大切だ
夫馬 賢治 プロフィール

米大手銀行が中小企業を支援

これらの動きを、多額の融資をしているシティグループやバンク・オブ・アメリカなどの銀行大手はどう見ているのだろうか。

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今のところ、嫌がっている様子はない。それどころか、大手銀行たちは今回、大企業だけでなく、中小企業の資金繰りを積極的に支えていく動きまで見せている。

典型的なのは、大手銀行8社が集まる協会で、いち早く自主的に「自社株買い」をしないと決めたことだ。自社株買いは、自分たちの資金を使って、既存の株主から株式を買い上げる行為で、短期的に株価を上げる効果がある。だが今回、大手8銀行は、「従業員と中小の取引先への支援をするための資金を確保するため、自社株買いを禁止した」と発表したのだ。

 

なぜ欧米企業は従業員を助けるのか

アングロサクソン型のアメリカ企業は、苦境に陥れば簡単に解雇すると思っている人は日本には多い。しかし、今回は解雇どころか、利益が減少する局面で従業員に手を差し伸べる大企業が非常に多い。

実はヨーロッパでも同じことが起きている。今までの感覚からは奇妙にも映るこれらの行為の裏側には、一体どんな狙いがあるのだろうか。

アメリカの企業は今、長期的な観点から事に対処しようとしている。いたずらに短期的な利益に左右されることなく、長期的に競争力をつけるための施策を戦略的に打っている。

欧米企業の行動原理は、長期志向

例えば、短期的に利益を増やすためには、従業員を解雇し、取引先を切り捨て、残った資金で自社株買いをすればよい。ただそれでは、せっかく採用し、育成してきた人的資本を自らの手で破壊してしまう。

取引先との関係も、せっかくプロモーションをし、CRM(顧客管理ソフト)まで導入して手がけてきた信頼関係が一瞬にしてなくなってしまう。困窮している中小の納品先を支援しなければ、コロナ・ショックが終わった後に販売チャネルがなくなってしまう。

こうしてアメリカの大企業は今、従業員と中小取引先企業の経営と雇用を支えている。そして、その大企業を、銀行が大量融資という形で支えている。

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