在宅勤務の長期化で進化する!「AIによる社員監視」

「スラック」のリアルタイム分析とは?
小林 雅一 プロフィール
 

これらの事例から見てとれるように、アマゾンの配送センターでは従業員(人間)の自主的な判断を極力排して、その判断をシステムに委ねています。こうしたほうが作業の効率性、つまり配送センターの生産性がアップするからです。

最近、世間では「人間の労働者がロボットに置き換えられる」ことが懸念されていますが、アマゾンのケースを見る限り、実際にはむしろ「人間を(システムに従って動く)ロボットにする」という事態が進んでいるようです。

もちろん現在、人間の労働者がやっている「ピッキング」などの作業もいずれは(本当の)ロボットが担当するようになるでしょう。その時に備えてアマゾンは従業員の再教育プログラムに着手したわけですが、ロボットが人間を完全に代替するまでには相応の時間がかかりそうです。

少なくともそれまでの間は、「人間をロボット化する」ほうがより現実的な手段と考えられているのかもしれません。

コールセンターでも「AI」が監視

これはアマゾンのような特定の企業、あるいは「商品配送センター」のような肉体労働の職場に限った話ではありません。

米国の生命保険会社メットライフでは、コールセンターで働くカスタマー・サポート従業員がAI(コンピュータソフト)の指示に従って働いています

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同社従業員の業務用パソコンでは、その画面の片隅に青いボックスが表示されます。このボックスの中にAIからの指示が表示されるのです。

電話で顧客対応するカスタマー・サポート従業員の仕事振りをAIは常時観察し、それに基づいて指示を出します

従業員が顧客に対して早口で喋っているときには、青いボックスに「スピードメーター」のアイコンが表示されます。これは「もっとゆっくり話しなさい」という意味です。

従業員が眠そうに話をしていたり、その口調に活気が感じられないときには「エネルギー補給」のアイコンが表示されます。これは「コーヒーでも飲んで、元気を出しなさい」という意味です。

従業員の話し方が冷淡で、顧客に対して敬意や共感、同情などの気持ちが感じられないときには「ハート」のアイコンが表示されます。これは「もっと心を込めて、お客様に対応しなさい」という意味です。