在宅勤務の長期化で進化する!「AIによる社員監視」

「スラック」のリアルタイム分析とは?
小林 雅一 プロフィール
 

AIが「ノルマ」を監視する

これらのケースから浮かび上がってくるのは、アマゾンが自社の従業員に課している過度に高い生産性ノルマです。また、それを達成するための特異な管理手法も批判を浴びています。

米メディアの報道によれば、アマゾンの配送センターではコンピュータシステム(一種のAI)が従業員の生産性を自動計測しています。あらかじめ経営陣が決めたノルマをこなせない従業員には警告が出され、それでも目標が達成できない場合には解雇されます。

ある配送センターでは、このようなシステムによって年間約300人が解雇されましたが、これは全従業員の約1割に当たります。

システムが計測する生産性の指標には、商品パッケージ担当の従業員が1時間に梱包作業した箱数など合理的な指標もあります。その一方でシステムは、こうした従業員が休憩などで持ち場を離れた時間も計測しています。その時間が長すぎると、やはり警告を受けて最終的には解雇される恐れがあるため、従業員の中にはトイレ休憩を取るのを憚る人さえいるといわれます

AIにロボットのように扱われる人々

彼らは「自分たちがまるでロボットのように扱われている」という感想を漏らしています。配送センター内の棚には多数の商品箱が置かれています。これらの箱に各種の商品を振り分ける「ストウワー」と呼ばれる従業員は、コンピュータシステムの指示に従って作業をします。

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ストウワーが日焼け止めクリームを商品箱Aに入れ、それに隣接する商品箱Bに、それと外見がよく似た別の日焼け止めクリームを入れようとすると、その作業を監視していたシステムが警告音を発します。これは箱から商品を取り出す「ピッカー」と呼ばれる従業員が、誤って別の箱からよく似た商品を取り出す恐れがあるので、それを予防するためです。

一方、商品の梱包を担当する「パッカー」がボタンを押すと、テントウムシ型の搬送用ロボットが彼らのいる作業場までやってきます。このロボットの背中に取り付けられているラックから、(やはりシステムの指示に従って)パッカーは次に取り出すべき商品が入っている箱を選び出し、そこから時計、ドライバー、本、ビタミン剤など多種多様な商品を取り出しては配送用の箱に詰めていきます。