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在宅勤務の長期化で進化する!「AIによる社員監視」

「スラック」のリアルタイム分析とは?
コロナ禍に伴い、各社で推奨されている在宅勤務。それが長期化することによって、さらに進化すると目されているのが、AIを駆使した社員の監視だ。 AIによる人間の仕事の管理は、現在、どこまで進んでいるのか? 現代新書の最新刊『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』著者の小林雅一氏が読み解く。
 

漏れ伝わりだした「IT企業の実態」

アマゾンは以前から従業員を取り巻く過酷な労働環境が社会的な批判を浴びてきました。2011年にはペンシルベニア州東部にある同社の配送センターが非難の矢面に立たされました。摂氏40度という酷暑の中、冷房設備のない倉庫で従業員が延々と作業し、彼らが倒れたときに備えて表では救急車が待機しているという事実が地元紙によって報じられたのです。

最近では民主党の次期大統領候補を目指していたバーニー・サンダース氏も、政治集会でアマゾンの労働実態を槍玉にあげるなど再び注目度が高まってきたため、アマゾンは傷ついた企業イメージの回復が急務となっていたのです。

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しかし同社の商品配送センターは、本当に政治問題化する程の酷い労働条件を従業員に押し付けているのでしょうか?

アマゾンは米国内だけで少なくとも75ヵ所の配送センターを有し、そこで12万5000人以上の従業員を雇用していると見られます。彼らは労働組合に加入していないので、これまで労組主導の労使交渉などを通じてアマゾンの労働条件が公表されることはありませんでした

しかし最近ではさまざまな方面から、それが漏れ伝わりだしています。

2018年、ミネソタ州の配送センターで働くソマリアなど東アフリカ出身の従業員が、労働条件の改善を求めてアマゾン経営陣と初の集団交渉に臨みました。

彼らの大半は母国の内戦を逃れてきた難民ですが、イスラム教徒であるため一日に数回、決まった時間に特定の方角に向かって礼拝する必要があります。ミネソタ州の配送センターでは、イスラム教徒の従業員が業務時間中に礼拝する権利を保障しています。

しかしソマリア出身の従業員らは「アマゾンが倉庫の効率的な運用を最優先し、我々を急き立てるように働かせるので十分な礼拝時間が確保できない」と訴えました。労使間の協議は難航し、交渉は長引きました。

同じく2018年、ニューヨーク市のスタッテン島にある配送センターでもトラブルが持ち上がりました。ここを解雇された元従業員の男性が小売労組の屋外集会でスピーチし、「(アマゾンの配送センターは)12時間交代制で休憩はほとんど取れない。ピーク・シーズンには週に6日働かされる」と訴えました。