もっと生きやすい社会を。もっと環境に優しい生活を。そう願う人々が、世界のあちこちでプロジェクトを立ち上げています。技術革新が生み出した新素材や、人の行動を変える社会の仕組みづくり、食糧問題、難民問題に向き合う国境を越えた取り組みなど、世の中を変えていこうとするアメリカのアクションを紹介します。

ace & jig

交換、直す、回収する。
売った後も続くロングライフ

生地から製造するインドの工場。社員には無償保育や生鮮食品を提供。

世界的ファッションブランドとして業界全体の廃棄量の多さに問題提起する〈エース・アンド・ジグ〉は、ゼロ・ウェイストやロングライフカルチャーを最前線でリードする。

例えばハギレ。裁断した際に出るそれらでパッチワークのバッグを作製し、売り上げは難民や女性問題に関するNPOに寄付。また世界中に約500人もいるボランティアにハギレでキルトをつくってもらい、それらをつなげた巨大アートを仕上げるなど、社会問題や芸術にもコミットしながら、人々の意識変革を行ってきた。

ファウンダーのケーリー・ヴォーンとジェナ・ウィルソン。

ブランド自ら購買とは真逆を行く「Swap(交換)」や「お直し」を奨励しているのもユニークな点。ソーシャルメディア上でファン同士が行うこともあれば、物々交換会やお直しイベントを企画することも。ハギレを販売するのも、服の修繕をより身近にするためだ。そんな小さなアクションの結果、年間20km相当もの生地を廃棄から救っているそう。

イベントではファン同士でアイデアの交換も。

ファンと共にミッションへの理解を深め、共有するゼロ・ウェイスト・コミュニティの形成にも一役買っている。現在、全米では既存の流通よりも拡大を遂げているという再販マーケット。この流れを汲むように、〈エース・アンド・ジグ〉も着なくなった同ブランドの服のリターンを受け入れはじめている。

ブランド創設から10年。あらゆる手間とエネルギーをかけてつくった一着の命を少しでも長くする。その使命のための取り組みはますます広がるばかりだ。

ace & jig
aceandjig.com

Creatable World ™

性別の先入観から解き放たれた玩具を

人形は肌や目の色が異なる6種類。セットには、短髪と長髪の2種類が楽しめるようにとウィッグが入っており、洋服もパンツとスカートの両方がセットになっている。1キット30ドル。(c)Mattel

安易な女性観、男性観を広げない。その意識は、子どもが手にする玩具にこそ必要なのかもしれない。バービー人形のメーカーとして知られる〈マテル〉社が2019年秋に発表した〈クリエイタブル・ワールド〉は、そんな願いが込められたジェンダーレスドールだ。

ボックスにはウィッグや洋服、小物などがセットで入っており、100種以上のスタイリングが楽しめる。例えば、ショートカットにパンツスタイルを合わせてボーイッシュにしてもいいし、短いパーマヘアに華やかなスカートを合わせてファッショナブルに楽しんでもいい。現実世界のように、髪型も服装も、自由に自分らしいコーディネートを選ぶことができるのだ。

人形はいずれもユニセックスな雰囲気で、かつてのバービー人形のような過剰な女性らしさや、ボーイフレンド役のケンのようなマッチョな雰囲気はない。「女の子はドレスが好き」「男の子は短髪」といった先入観を断ち切るために、玩具業界でもクリエイティブな挑戦がはじまっている。

Creatable World ™
www.mattel.com/en-us/creatable-world