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「自然免疫」「獲得免疫」「免疫記憶」その違いを基礎から教えます

よく聞く単語、この機会に覚えておこう
新生活、新学期の季節になりましたが、新型コロナウイルスの影響を考えると、なんだか気持ちの沈んでしまう方も多いと思います。例年通りに生活できるのか、楽しみにしているイベントは開催できるのか、不安に思うことでしょう。

そのような心配を抱えつつも、感染拡大を収束させ、楽しい日常を取り戻すために私たち1人1人が頑張っています。まさに、新型コロナウイルスとの戦い、「感染症との戦い」なのです。

そこで、好評連載「現役東大生のサイエンス入門」も緊急企画を配信。感染症から私たちの体を守ってくれる、「免疫系」という防御システムについてお話しします。

あらためて「感染症とは何ですか?」

「感染症との戦い」にあたって、私たちは戦う相手である「感染症」についてきちんと知っておく必要があるでしょう。

まずは感染症の例を考えてみます。コレラ、結核、水虫、インフルエンザ、麻疹……などなど。コレラや結核は細菌、水虫は真菌、インフルエンザや麻疹はウイルスによって引き起こされます。

このように、感染症とは「細菌、真菌、ウイルスなどの病原体が体内に侵入、定着して発症する病気」のことです。

一方、私たちの体はこれらの病原体に侵入されっぱなし、というわけではありません。そもそも、私たちの体には100兆個を超える数の微生物が生きているともいわれているのに、多くの人は健康に生活できています。

それには理由があります。私たちは病原体を排除する防御システムを持っているのです。

 

このシステムを「免疫」または「免疫系」と言います。

免疫系の役割は、「自然免疫」→「獲得免疫」→「免疫記憶」の順で進んでいきます。

それでは、今までに感染したことのない、ある病原体が体内に侵入してしまったという設定で、順番にどのように免疫系が働くのか、具体的に見ていきましょう。

免疫系「3つの段階」を解説します

1 自然免疫

体内に侵入してきた病原体をそのまま放置するほど、人間の体は甘くありません。

病原体を攻撃する存在として、「白血球」という言葉は有名だと思います。この白血球は免疫をつかさどるので「免疫細胞」ともいわれ、単球、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球の5種類からなります。

赤血球(中央)と白血球のイメージ図。左上から時計回りに、好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球(マクロファージ) Illustration by Getty Images

白血球のうち、まず活躍するのが単球から分化したマクロファージ。この細胞が病原体の侵入を感知して危険信号を発するのです。これにより、好中球(白血球全体の過半数を占めています)などといった細胞が集まり、病原体を直接攻撃してくれます。