コロナショックで「年金」がアブない…将来世代を襲う「厳しい現実」

GPIF「過去最大損失」を考える
近藤 駿介 プロフィール

日本の株式市場が直面する「厳しい現実」

GPIFの運用資産が増えた、減ったという話題はメディア等で報じられている。

しかし、「年金財政を概ね100年間で均衡させるため、当初は年金給付の一部に積立金の運用収入を充て、一定期間後からは運用収入に加えて、積立金を少しずつ取り崩し、最終的には概ね100 年後に年金給付の1年分程度の積立金が残るよう、積立金を活用していく財政計画が定められています」(2018年度GPIF「業務概要書」)ということが報じられることはほとんどない。

ポイントは、2019年末時点で約169兆円に及ぶGPIFが運用する年金の積立金は「一定期間後」から少しずつ取り崩されることが決まっていることと、「運用収入に加えて」「積立金を少しずつ取り崩す」というところ。

問題は「一定期間後」というのがいつになるのかという点である。そのヒントが昨年発表された5年ごとに行われる「財政検証」で示された163通りものシミュレーション中の慎重な経済見通しに基づいたケース(ケースV)に基づいた「公的年金の財源と給付の割合」に見て取れる。

 

この「ケースV」の前提となっている「物価上昇率0.8%、賃金上昇率(実質<対物価>)0.8%、運用利回り(スプレッド<対賃金>)1.2%」という当時としての「慎重な経済前提」は、現状あるいは2020年の経済見通しと比較すれは「夢のような経済前提」だ。

今となっては「夢のような経済前提」でも2020年度から年金給付の財源として「積立金から得られる財源」が使われ始める見通しになっている点には要注目である。

年金給付の財源はその年の保険料収入と税金で9割程度が賄われており、GPIFの積立金運用に伴う短期的な市場変動は年金給付に影響することはない。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大による経済低迷によって、経済に連動する保険料収入と税金が減少することはほぼ確実である。こうした環境で問題になって来るのが「運用収入に加えて」という部分である。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/