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コロナショックで「年金」がアブない…将来世代を襲う「厳しい現実」

GPIF「過去最大損失」を考える

コロナショックの甚大な影響

大手シンクタンクが相次いで新型コロナウイルス感染拡大による世界同時株安の影響を受けて公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2020年1〜3月期に17兆円を上回る損失を出した(正確には運用資産を減らした)可能性が高いことを報じている。

GPIFが失った17兆円というのは2018年10〜12月の14.8兆円を上回る過去最大規模であるのと同時に、1年間の公的年金給付額の3分の1程度に相当する大規模なものだ。

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大和総研は4月3日に公表した特別レポート「コロナ・ショックと世界経済」の中でメインシナリオ(新型肺炎の流行期が日本で5月、欧米で6月、中国で4月に収束)として新型コロナによって2020年の日本の実質GDPが21.7兆円押し下げられるという予測を示しているので、GPIFは2020年1年間のGDPの減少とほぼ同規模の年金資産減少に見舞われたことになる。

GPIFの運用資産が17兆円減少したことに対して「GPIFは市場運用を開始した2001年度以降これまで75兆円もの収益を上げており、長期的に見れば17兆円程度の資産の減少など問題ではない」という意見も根強くある。

しかし、このGPIFがこれまで上げてきた収益は現金として貯められているわけではない。実際に昨年末時点でGPIFが保有している「短期資産」は5兆7334億円に過ぎない。それは、GPIFの収益は年金特別会計に納付されるほか、運用効率を上げるために株式や債券に再投資されているからだ。

 

これまで累計で75兆円ほどの収益は既に年金特別会計を通して年金として給付されているか、リスク資産に再投資されている。

つまり、GPIFがこれまで獲得してきた収益のほとんどは、既に年金給付に使われたか、今々リスク資産にさらされているかのどちらかであるため、これまで75兆円もの累計収益を上げてきたといっても今後の年金給付が大丈夫ということにはならない。