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コロナショックで「日本企業330万社」が危機! 銀行は大丈夫か…?

ネガティブなシナリオが実現した場合…
大槻 奈那, マネクリ プロフィール

邦銀の「与信費用」がリーマンショックを超える?

今回は、まだ状況が明らかになっていないことから、日米欧、それぞれの中央銀行によるストレステストや、コロナショック前から不良債権や予備軍だった企業が倒産した場合を想定し、発生しうる与信費用(不良債権処理のための償却や引当の費用)を推計する。今後マクロデータ等が明らかになった段階で精緻化を図りたい。

かつて、サブプライム・リーマンショックが発生した際の銀行の与信費用は、復活までの5年間合計で9.3兆円に上った(図表2)。これは、総与信額の0.32%に当たる(年率平均)。最も高かったのは、09/3月期で、総与信額に対し0.67%となった。

これと同等程度のストレスを前提としているのが、日銀の「テールリスクシナリオ」の分析である。

ここでも、銀行の与信費用はおよそ9兆円程度発生すると試算されている(開示されている与信費用比率と貸出残高から概算)。リーマンショック後の5年間の累計与信費用と概ね同レベルである。

この金額は預金取扱金融機関全体の年間利益の2.5年分に該当し、資本を約13%毀損する。邦銀の実質業務利益はリーマンショック当時よりも減っていることから、同じ損失額でも利益でのリカバリーには時間がかかる計算になる。一方、この10年で資本は蓄積されたので、破綻リスクは低下している。

しかし、足元では、日銀のリスクシナリオよりも景気が下振れる可能性も出てきた。このため、別のシナリオも検討してみる。

 

冒頭の通り、コロナショック前から業績に問題があった貸出先の場合、たとえ一時的な資金繰り支援を受けたとしても、この難局を生き残るのは容易ではないと思われる。このため、不良債権や要注意先の一定割合が返ってこなくなった場合を想定してみる。

図表2の通り、不良債権先の破綻比率が8割など極端に高くなった場合、与信費用は19兆円・利益の5.4年分に上り、銀行資本の23%を毀損することになる。

既に邦銀の株価は、19/12月から30%下落し、PBRは0.3~0.5倍程度まで低下していることから、日銀シナリオやリーマンシナリオまでは概ね織り込んでいるとも見える。