photo by iStock

米IT企業が直面!「悪質な嫌がらせ」事件の背景

変革に挑む自動車業界の「憂鬱」
グーグルが開発した自動運転車は、アメリカ国内で悪質な嫌がらせに遭っているという。その背景にあるものとは何なのか? そして、これからの時代の自動車産業および雇用はどうなっていくのか?

新型コロナウイルスの影響で到来する世界的な雇用危機の先を見越して「人が働く意味」を問う現代新書の最新刊『仕事の未来 「ジョブオートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』著者・小林雅一氏が読み解く。
 

テスト走行中に起こる嫌がらせ事件

公道を走行中に道端の誰かから石を投げられ、交差点で停車すると刃物でタイヤを切りつけられる――グーグルが開発した自動運転車は米国内で悪質な嫌がらせに遭っています。

2016年にアルファベット(グーグルの持ち株会社)から分社化して自動運転車の実用化(商用化)に挑んでいるウェイモ社は、これまで米国内の複数州にわたる数十の都市で、その走行テストを続けてきました。

このうちアリゾナ州のチャンドラーという都市では、グーグル(ウェイモ)の自動運転車は約2年間で(警察に通報されただけでも)21件に上る嫌がらせ事件の被害に遭っています

ある時などは、住居の庭から男が、目の前の道路を通過する自動運転車に銃を向けて威嚇することもありました(弾は発射しませんでした)。

photo by iStock

警察に逮捕・尋問された男は、こんなことをした理由として(米国の配車サービス大手)ウーバーの名前を挙げました。同社が開発中の自動運転車が2018年3月、アリゾナ州の公道を試験走行中に女性歩行者をはねて死亡させましたが、男はこれに対する憤りから犯行に及んだというのです。

ウェイモの関係者にしてみれば、違う会社が起こした事故のせいで自分たちが脅されるのは心外かもしれませんが、自動運転車を憎悪する人たちから見れば、どの会社の車も皆同じというわけです。

これ以外にもグーグルの自動運転車は沿道の人々から野次を浴びせられたり、同一のジープから(日を変えて)6回も煽り運転されて危うく事故を起こしかけたり、タイヤを切りつけられたり、少なくとも4回に上る投石事件の被害を受けています。

しかし、何らかの非常事態に備えて車内に待機している予備運転手は基本的に会社(ウェイモ)には通報しますが、世間体を気にして、よほどのことがない限り、警察には通報しません。このため(前述の)21件というのは氷山の一角で、実際には、もっと多くの嫌がらせや脅しを受けていると見られます