いま、30代の人があっけなく「ひきこもり」化する原因が見えてきた

「学校の掟」が苦しめる
佐藤 優 プロフィール

学校は、このような保護を与えることとひきかえに、学校独自の価値観を強要してきます。まず問題とされるべきは、子どもたちが学校において「誰もが無限の可能性を秘めている」という幻想を強要されることです。

これが問題となるのは、すでに去勢の過程を済ませつつある子どもたちにとって、このような幻想が、あたかも「誘惑」として強いられることです。つまりこれが、去勢否認の強制です

 

均質である環境での差異化が、子どもたちにとって耐えがたい負担になっている。

「誰もが無限の可能性を秘めている」というような啓蒙主義的人間観を克服する必要がある。現実の社会に出れば、誰もが厳しい競争に晒される。

そこに出なくてもいいというモラトリアム装置としての学校には独自の掟が存在する。

この掟にも、競争社会にも適合できない人が、生き残るためにひきこもるという選択を余儀なくされる現実が本書を読むとよくわかる。

『週刊現代』2020年3月21・28日号より