いま、30代の人があっけなく「ひきこもり」化する原因が見えてきた

「学校の掟」が苦しめる
佐藤 優 プロフィール

ひきこもりと現下日本の教育システムの間には深い関係がある。ここで斎藤氏が鍵概念として用いているのが、心理学で言うところの「去勢」だ。

社会的ひきこもりが、思春期の病理であるということ。それは、とりもなおさず、この問題が現代の教育システムの問題と、深く関連していることを意味しています。たしかにそこには、さまざまな社会病理的なものが反映しているかもしれません。

Photo by iStock

しかし、子どもにとっての社会が、まず家庭であり学校である以上は、「教育システム」のあり方それ自体を問題にしないわけにはいきません。

端的にいって、現在の教育システムは、「去勢を否認させる」方向に作用します。どういうことでしょうか。

まず「去勢」について簡単に説明しておきます。去勢とはご存じのように、ペニスを取り除くことです。

精神分析では、この「去勢」が、非常に重要な概念として扱われます。なぜでしょうか。「去勢」は、男女を問わず、すべての人間の成長に関わることだからです。

 

精神分析において「ペニス」は、「万能であること」の象徴とされます。しかし子どもは、成長とともに、さまざまな他人との関わりを通じて、「自分が万能ではないこと」を受け入れなければなりません。

この「万能であることをあきらめる」ということを、精神分析家は「去勢」と呼ぶのです〉