こんな時だけど、
少しでもみんな笑いましょ。

自分に何ができるのか?

どうやったら、自分と自分の大切な人を守れるのか」だけではなく、(自分の身を守ることは当然として)自分以外の、困っている人のために、ささやかでも何かできることはないか。エンターテインメント界が自粛騒ぎで揺れる中、そんなことを模索している“表現者”は、いったいどれくらいいるのだろうか。

P.S.笑うと免疫力上がるんだって。こんな時だけど、少しでもみんな笑いましょ。わっはっは

2月27日、自身のインスタグラムで、そんなメッセージを送った“あーちすと”がいた。名前を“のん”という。新型コロナウイルス感染拡大の影響を懸念し、2月29日にEX THEATER ROPPONGIで開催されるはずだった「NON KAIWA FES Vol.2」の中止を決断。インスタグラムにバンドメンバーとの賑やかな写真と中止の報告とともに、そんな世の中を元気づけるメッセージを添えるなんて。なかなかできることではない。

この約半年前、筆者は、初めて彼女にインタビューをした。昨年芥川賞を受賞し注目を集めた上田岳弘さんが、2015年に発表した『私の恋人』をベースに、渡辺えりさんが脚色、演出を務めた音楽劇。のんさんと小日向文世さん、えりさんの3人で、30もの役柄を演じ分けた。その舞台のプロモーションのための取材だった。

撮影/篠塚ようこ

撮影が終わると、ちゃんと自分がどう写っているのかをモニターで確認する。被写体でいる時は、とてもナチュラルで、フォトグラファーの指示に、自然に体を預けるような動きをしていたのが、いざチェックとなると、その目が物づくりをする人の目に変わった。

筆者も仕事柄、彼女ぐらいの年齢の女優やミュージシャンを取材することが多いのだが、例えばミュージシャンなら、自分のブランドイメージが保たれているかを最優先して、写真をチェックしているように感じるし、女優なら――彼女たちは、マネージャーの判断に委ねているせいか、案外自分がどう写っているかは気にしないことが多いが――とはいえやはり美しく写っているかが気になるのだろう。

でも、のんさんには、(なんとなくだけれど)新しい撮影に挑むごとに、新しい自分を引き出してもらいたい、と思っているように見えた。そんな些細な行動からも、表現者らしいこだわりが、垣間見られた気がした。