感染症の専門家が監修。
そして、彼自身も今回新型コロナに感染

なぜ、こんなにも映画『コンティジョン』にリアリティを感じるのか。それは単なるエンターテイメントではなく、“contagion(感染)”を通して、起こりうる変化を丁寧に描こうとするスティーブン・ソダーバーグ監督の姿勢にある。さらに、それを助けているのが、映画の医療監修をしたイアン・リプキン医師の存在だ。リプキン医師は、コロンビア大学感染症免疫センター所長を務めている。リプキン医師をはじめ、CDCの研究者や感染症専門の科学者にも丹念に取材を重ね、映画を制作したという。

今回の新型コロナウイルスで、リプキン医師は中国に渡りパンデミック調査をしている。そこでリプキン医師は新型コロナウイルスに感染し、3月24日には、咳でむせながら家からテレビ電話でテレビ出演し「情けないことですが、感染しました。私でも感染したのだから、誰もが感染するでしょう」と語り、ニュースにもなっている。

皮肉なことに、映画だけでなく新型コロナウイルスでもリアルに感染症を伝える存在となっているのだ。

Fox Businessに3月24日に出演したときのイアン・リプキン医師。出典/Foxnewsyoutube

そして、映画の中の登場人物たちも、感染現場に入り、必死に感染拡大を食い止めようとする。クラスターを突き止めるため、感染者に接触し行動を細かく聞き続ける感染症調査員、危険を感じつつウイルス培養にチャレンジする科学者、感染が拡大する中休みなく治療をする医師たち、感染の危険もあるワクチン開発を繰り返す研究者……。そして、彼ら自身も感染の恐怖におびえながら仕事をしていることもこの映画は教えてくれる。

これは想像だが、数々の感染症を研究し戦ってきたリプキン医師監修だからこそ、そういう部分も描く必要があると提案したのかもしれない。世界各地で今も戦っている医療者や科学者たちの存在がある。そして、それは日本でも同じだ。