新型コロナ、現場医師が迫られる「命の選別」〜あまりに重い決断

「誰を助けて、誰を見捨てるのか」
週刊現代 プロフィール

まず東京から始まる

医療機器の数が足りなければ、すべての患者を助けることはできない。そうした状況では、少しでも助かりそうな人を優先的に治療していくことになる。

誰を助け、誰を見捨てるのかを判断し、優先順位をつけていく。非常事態における医療現場でのこうした判断は「トリアージ」と呼ばれる。

'95年の阪神・淡路大震災でこの言葉を知った人も多いだろう。最近では、'11年の東日本大震災や'16年の熊本地震でもトリアージが実践された。済生会熊本病院循環器内科部長の坂本知浩氏が、熊本地震の時の体験を語る。

「地震が発生したのが夜9時半ごろで、私の勤務する病院に患者が運び込まれてきたのは、1時間~1時間半経った頃でした。

救急車や自家用車で次々に患者さんがやってきたので、病院の玄関先で、今すぐ治療が必要な人と、すぐに治療しなくていい人を分けました。

その後、病院の中で患者さんの血液中の酸素の濃度をはかったり、意識レベルを見たりして、優先度をつけて治療をしていきました。診察は、朝5時まで続きました」

ケガ人が続出する災害時は、なるべく多くの人を救うために、やむにやまれず「命の選別」が行われる。

しかし、新型コロナの場合、事態はより深刻だ。

「地震などの災害であれば、病院に来る患者はだんだん減っていくものです。ところが新型コロナのような感染症の場合、患者が増え続けて、限られた設備や人員のなかで医療現場はどんどん疲弊していってしまう」(ごとう内科クリニック院長・後藤浩之氏)

 

冒頭で見たスペインのほか、イタリアやフランスではすでに、新型コロナの脅威によって、「命の選別」が行われている。