東大教授が本気で選んだ、ジャンル別「おもしろい本」10選

古典・文豪・近現代・歴史・ラノベから
本郷 和人 プロフィール

彼独特の漢文調のリズムが読んでいて、とにかく気持ちがいい。文章だけで読書を楽しめる作家の筆頭です。

漱石は英文学者として知られています。けれど、いちばん得意なのは実は漢文でした。漢文で物を考えるので、それが文章にも反映される。だから、漢文調好きの僕は読んでいて、リラックスできる。

吾輩は猫である』を選んだのは僕が猫好きということもあります。

 

漱石先生が今生きていたら、弟子の末席に加えていただきたかった。神経質で面倒くさそうな人ではあるけれど、そばにいたら実に楽しそう。

頭でっかちの愛に共感

乙川優三郎さんは歴史小説が多いですが、『ロゴスの市』は現代小説で、翻訳者の男性(弘之)と同時通訳の女性(悠子)の恋愛を描いています。

弘之と悠子は大学で出会い、惹かれ合う。その頃からすでに二人の間には英語と日本語という二言語との格闘があり、大学卒業後もその格闘ゆえに認め合いながら争い、争いながら愛し、愛しながら離れるということを繰り返す。

色恋だけではすまない頭でっかちの愛は、自分の経験にも重なり強い共感を覚えました。

5位と6位は「歴史小説」です。

家康、江戸を建てる』は豊臣秀吉に関東への国替えを命じられた家康が、ほとんど水浸しの低湿地だった江戸に、自らの采配で当時の大坂にまさる大都市を作り上げていく物語です。

これだけの大プロジェクトを成功させた「天下人」である家康を、英雄視せずに書いているところが新しかった。日本の歴史小説家の多くは否定するにしろ肯定するにしろ司馬遼太郎の呪縛から抜け出せていませんが、門井さんにはそれがないところがいい。

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