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東大教授が本気で選んだ、ジャンル別「おもしろい本」10選

古典・文豪・近現代・歴史・ラノベから

「無用者の生き方」が教えてくれること

読者の方々に分かりやすいよう「古典」「文豪」「近現代」「歴史小説」「ライトノベル」の5つのジャンルに分け、それぞれ2冊ずつ選びました。

中学生のときに読んだ『無用者の系譜』は「近現代」に入ります。体の弱かった僕は人の命を助ける医者になりたかったのですが、理数系ができなかったので断念。

ならば人の心を救う僧侶になろうと思い、仏教の経典を読んでいるうちに、僧侶になるには相当金がかかることを知り、これも断念。はてどうしようと考えたときに出会ったのが、この本でした。

 

在原業平、一遍、芭蕉……、彼らは高い思想を持っていましたが、世間から見たら脱落者であり「無用者」だった。

しかし、「無用者」だからこそ、宮廷や市民の文化とは異なる風狂の文化を生みだすことができ、それが日本文化の底流をつくっていった、というのがこの評論の趣旨です。なるほど、こういう生き方もあるのかと共感しました。

結局僕は歴史学を選んだわけですが、歴史学も文学同様、直接世の中の役に立つものではありません。けれど、そうしたものに一生を捧げるのも一つの生き方なのだという意識はずっと持ち続けていて、仕事で挫折する度にこの本を読み、気持ちを立て直しています。

「文章が心地いい」名作文学

2位と4位は「文豪」から選びました。

「名人伝」は弓の名人を目指す男の話です。男は師について修業を積むうちに、弓を射ること自体を否定する境地に到達する。禅の思想が反映された話の面白さはもちろんありますが、僕が好きなのは中島敦の文章です。