photo by Getty Images

もう元の世界には戻れない…コロナウィルスに粉砕された理念の数々

自由、民主、公共性も、EU統合も五輪も…

新型コロナウィルスは、国のあり方に関する最も基本的な問題をわれわれに突きつけている。強権国家である中国が抑圧に成功しつつある。

その反面で、自由を基本とする欧米の民主主義国家で、事態が深刻化している。

国のありかたの基本が問われている

コロナウイルス禍はいつかは終息する。しかし、何の長期的な影響も残さずに、そのまま忘れ去られてしまうものではありえない。

これまで十分な議論がなされることなく放置されて事柄に対して、あからさまな問題がいまわれわれに突きつけられている。

ものごとの本質に関する基本問題を、覆い隠し続けることができなくなった。いままでうやむやに放置していた問題が、きわめて重要な意味を持つことが明らかになった。

基本問題の第1は、中国の国家体制だ。

3月になってから、ヨーロッパやアメリカで感染の爆発的拡大が生じた。その半面で、中国での感染状況は次第に収まってきた。

中国の保健当局が3月29日に発表したところでは、中国で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は、31人だった。このうち30人は海外からの入国者で、国内での感染確認は1人しかいなかった。

こうした報道を信じるかぎり、中国は、世界で始めて、新型コロナウィルスの制圧に成功したことになる。

武漢市の封鎖は2ヵ月以上にわたって続けられてきたが、それが一部解除された。封鎖が行なわれていたその他の地域でも、解除が進められた。生産活動も徐々に再開された。

photo by Gettyimages

疫病をコントロールできるのは、強権・管理国家だった。これは、われわれの基本的な価値観を覆すものだ。

 

われわれは、今回のような危機に備えて、国家による管理を容認せざるをえないのだろうか?

コロナウィルスは、これまで意識することの少なかった国家の基本体制という問題に、われわれの目を、否応なしに向けさせた。