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なぜ5歳女児は死んだのか?フランスと日本「児童保護」の大きな違い

愛していても虐待死が生まれる…

いつも愛していたのに…

「誰かに助けてほしかった」「何度も何度も出したSOS。助けてと素直にそのたった一言が言えなかった。私が悪いのかもしれない」

「彼も児相も病院の先生も、お母さんしっかりしなさいって。やってるよ。やってるじゃん。……私の何がいけなかったんだろう、やっぱり私の存在がいけなかったのかな」――。

『結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中手記』は母が夫からDV(家庭内暴力)を受けているなかで虐待から我が子を救うことができなかった状況について克明に描いている。

この本によって新たに明らかになったことは、母が「いつも結愛を愛しているという気持ちがあった」にも関わらず守りきれなかった状況、母から見て児相(児童相談所)や病院の担当者の対応に助けを求められないと感じ、相談しなくなり、ますます孤立していった過程である。

『結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中手記』表紙より

結愛ちゃんが亡くなったのは、親が異常だったからではない。

なぜこの母はここまで自尊心がなく、夫から押し付けられた価値観を鵜呑みにし、DVを受けている自覚がなく、実家や友達に助けを求めることもなく、娘を守るための合理的な行動をとらなかったのか、疑問を持つかもしれない。

しかし、手記を読み進むにつれて、DVによる力関係の中でいびつな思考が形成されていったか理解することができる。自分も同じ状況だったら同じことが起きていたのではないかと思うほど、身動きが取れなくなっていく様子がわかる。

 

日本でも「虐待の疑われる家庭には裏にDVがある可能性がある」と言われているものの、子どもを守るための制度が十分整っておらず、今回の事件が起きている。

筆者の住んでいるフランスでは子どもを守る制度が日本に比べ整えられている。日本と何が異なり、いかに参考にすればよいのだろうか。