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通信の中枢規格「イーサネット」って何?本質を5分間で講義します!

君臨の秘密は「変わり続ける」こと
中央大学の岡嶋裕史教授が、新刊『絵でわかるネットワーク』発売にあわせ特別寄稿。
同書でも解説した、有線LANで最も使われる技術規格「イーサネット」の何がすごかったのか、わかりやすく講義します!

14年の時が流れた結果

2020年4月2日、『絵でわかるネットワーク』という書籍を上梓する機会を得ました。これは2006年に集英社より出版した『郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ』のイラストをすべて新たに描き起こし、加筆修正を行ったものです。

以前に書いたものに再度光を当てる機宜をいただいたことは、望外の僥倖です。

 

と同時に、14年の時の流れは大きいと改めて実感しました。旧著のときも今回も、書籍に持たせた役割は入門書ですから、きんきんにエッジの効いた話題には触れず、長期にわたって役に立つであろう、ネットワークの仕組みの基本的な事項を解説しています。

それでも、2006年の時点と今では、まさに隔世の感があるほどの隔たりがあります。一例をあげれば、イーサネットです。

なぜケーブルの先はあんな形なのか

イーサネットは、構内通信における標準的な規約です。

たとえば、有線LANのケーブルを接続する部分は、特徴的な凸型をしています。どのメーカもこの規約、取り決めを守っているからこそ、どんな機器にもあの有線LANの凸型が接続できるのです。

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通信に必要な機器の物理的な形状をはじめ、「みんなでやりとりする信号の形はこうしよう」とか、「伝達速度はこのくらいにしよう」といったルールもイーサネットでは定められています。

インターネットをはじめとした通信が広まるようになると、イーサネットは時代の中でくねくねとそのルールを変えてきました。

ケーブルひとつとっても、最初は同軸ケーブル(昔のTVケーブルを想像してください)を使うことになっていましたが、その後わたしたちがよく見るツイストペアケーブルが使えるようになりました。今では光ケーブルも使うことができます。

技術の進歩に合わせて、イーサネットが許容する通信速度は1000倍にもなり、もともとは近距離通信用の技術だったにもかかわらず、キロメートル単位の伝送にも使えるようになりました。

こうした新陳代謝を繰り返す中で、はじめの取り決めからは、ほとんど別ものの取り決めのように育ったのです。

世界中で愛され、常に進化と進歩を欲されていたから、性質を変え続けましたし、無節操なほどに変化をしていったから、社会の隅々にまで浸透したのだと思います。

一番の根っこ、CSMA/CD

そんな中で、唯一イーサネットの骨格だと思われていたのが、通信制御方式の取り決めであるCSMA/CDでした。

コンピュータの通信で悩ましいのは、複数のコンピュータが同時に通信しようと試みる状況をどうさばくか、です。