3月21日のパリのスーパー〔PHOTO〕Gettyimages

ロックダウンのフランスで「レジ係が英雄」に…でも、それでいいの?

ウイルスで浮き彫りになった「階層」

いつも通りに働かざるを得ない人

フランス全国がロックダウンされてから2週間が過ぎた。死んだように静かな街を1日に一回歩き、あとはラジオやネットなどで情報を収集している。

私は、フランスのパリ郊外に家族4人で暮らしている。夫と子供二人、そして私だ。

子供たちも私たちも、友人たちとはテレビ電話でつながっているが、対面で他人と会う機会はほとんどなくなった。そんな中でふと、家族以外に最後に直接対面で会話をしたのは誰だっただろうかと考えた。

それは数日前に行ったスーパーのレジ打ちのお兄さんだった。全ての店やサービスがストップした閑散とした街でも、食料品店はずっと営業を続けている。いま唯一、対面で会話ができる他人はレジ係の人だ。

3月21日、パリのスーパー〔PHOTO〕Gettyimages
 

異常事態に陥ったこの状況下でもテレワークに切り替えるという選択肢もなく、職場に赴いて働いている人々がいる。上記のようなスーパー・食料品店などの店員、医療関係者はもちろんのこと、農業従事者や工場の労働者たち、さらには清掃員、交通業界、エネルギー業界などで働く人々だ。

自宅で就学前の幼児を預かる「保育ママ」と呼ばれる人々も仕事をしている。息子の友人の母は保育ママをしているのだが、彼女はロックダウン後も毎日働いていると電話で話していた。テレワークに切り替わった親たちが家で集中して仕事ができるようにと、保育ママのもとには相変わらず子供たちが預けられていたのだ。

しかし彼女のアパートも決して大きいわけではないし、学校が閉鎖になっているので自分の子供もいる。外食業に携わる彼女の夫も仕事がストップしてしまい家にいて、自宅の環境はこれまでに比べて決していいとは言えない。しかしそんな困難な状況でも、感染のリスクと隣り合わせの場所で(子供から感染させられないとも限らない)、いつもよりもさらに厳しい条件で仕事を続けているのだ。