「農民インフルエンサー」周超のページ(動画サイト『西瓜視頻』より)

「恐竜化石vs農民インフルエンサー」が世界的研究者を仰天させた話

デジタル中国ならではの「発見」を追う
ネット利用人口が8億人を越えるという中国では、インフルエンサーの活動もスケールが違います。好評連載「恐竜大陸をゆく」、今回は「動画配信から化石発見」という驚くべき顛末を取材しております!

本連載を続けてお読みの方は、中国における恐竜化石の発見エピソードにしばしば登場する名脇役の存在にお気づきだろう。

そう、それは「農民」である。

 

中国は人口の大半が農民である時代が長く続いた(現在は人口の4割程度)ため、恐竜化石の発見にも彼らが関係する場合が多いのだ。

中国において、恐竜の化石はしばしば田舎で発見される。特に多いのが、道路などの建設中に見つかる、農地の開拓の際に見つかる……というパターンだ。道路建設にしても、作業にあたるのはしばしば現地の人(中国で人の移動が少なかった1980年代まではなおさらそうだ)なので、つまり農民が働いている。

かつての中国農村の工事現場(1940年代撮影) Photo by Getty Images

発見後のパターンも比較的ステレオタイプだ。化石が中国医学の薬(龍骨)になるからと近所の人が大挙してやってきて削りにくる、盗掘やニセ化石づくりが始まる、といった困ったパターンと、村の知識人や共産党員が化石の重要性に気付いて上級部門に報告することで思わぬ大発見への道が開かれるハッピーエンドのパターンがかなり多いのである。

もっとも、近年は従来とは異なる「恐竜と中国農民」の出会いのエピソードも見られるようになっている。今回はいかにも当世風の話を追っていくことにしよう。

農村YouTuber、化石探しで再生数を稼がんとす

近年、中国でもブームなのが個人による動画配信だ。つまり日本で言うYouTuberだが、中国では政治的理由からYouTubeへの接続が制限されているため、他の(多くは中国国内系の)プラットフォームが用いられる。

ネット上のインフルエンサーたちの名称も「YouTuber」ではない。「網紅(wǎng hóng:ネット有名人)」と呼ばれる。

イベントに招かれた「網紅」たち Photo by Getty Images

網紅のなかで有名なのは、美女による動画配信だ(いわゆる「網紅メイク」はこうしたネット美女のメイクのことである)。しかし、近年はより個性的な配信も増えてきた。たとえば、北京や上海のような大都会から隔絶した農村で暮らしている若者が、農村ライフを配信するといったチャンネルもあるのだ。

四川省宜賓市白花鎮で暮らす26歳の農民・周超もそんな1人である。