2020.04.26
# 就活 # 転職

日本企業で「ごますり野郎」と「ヒラメくん」ばかり出世する本当のワケ

年功序列と終身雇用はなぜ死なない…?
小野 一起, 冨山 和彦 プロフィール

「ごますり野郎」と「ヒラメくん」

冨山 戦争でもよくありますよね。海からの砲撃で成功すると、航空機の開発や導入をやめてしまう……とか。成功体験は、制度化を生む。体験や記憶だけじゃなく、社会の仕組みも過去の成功に合わせ制度化してしまう。そうすると社会や組織が「制度の虜」になってしまうわけです。

だから、機能しなくなった制度を変えるのは大変ですよね。制度の中に、人を動かす動機付けの仕組みが内在している。みんな期待を持ってしまうわけです。自分はクビにもならないし、年を重ねれば給料は増え続ける、と。こうした期待や現行制度の既得権にメスを入れないと仕組みは変えられません。

小野 今の日本的経営の仕組みの中で経営陣になった人が、この制度の最大の既得権者です。そういう人が、会社の人事を支配し、社員のモチベーションをコントロールしているわけです。上司が自分と同じタイプを引き上げるわけですから、日本的経営の自己強化が繰り返されることになります。言葉は悪いですが、「ごますり野郎」と「ヒラメくん」の無限のスケールダウンが続くわけです(笑)。若手や中堅には絶望が広がります。

冨山 これまでの仕組みで動いている企業にメスを入れようとするとクーデターが起きてしまう。例えば、東芝で起こったトップ交代などは、そういうことでしょう。

 

日本的経営が自己強化され、自己目的化している会社の中で経営者や社員として素直に適応しようとすると、世の中で起きている大きな環境変化に対応しない人のほうが優秀だという評価になるわけです。そういう人が経営者になると、同じタイプで少し能力が低いタイプ引き上げて、再生産が繰り返されるわけです。

しかし現実に会社の外側では、フルグローバリゼーションが始まり、デジタル革命が起きている。これが圧倒的な破壊的イノベーションを引き起こしている。それに対して、改良に次ぐ改良で戦おうとしているわけです。戦争に例えるなら世界で、どんどん航空機の性能が向上している中で、機銃砲の技術を高めれば撃ち落とせる、という考え方になってしまう(笑)。それでは世界と戦えるわけがない。

▼4月13日(月)『よこどり 小説メガバンク人事抗争』発売 著者:小野一起

【内容紹介】

自分を失った男たちへのレクイエム!
組織は、あなたからどこまで奪うのか!

メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。

「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平(作家)
「失われた30年の真因と処方箋が鮮やかに浮かび上がる」――冨山和彦(経営共創基盤CEO)

【ストーリー】

AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に
社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。
吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく――。

元共同通信日銀キャップの著者が本作『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で巨大銀行の仁義なき権力闘争に迫る!

【著者】

小野一起(おの・かずき)

本名、小野展克(おの・のぶかつ)。1965年、北海道生まれ。慶應義塾大学卒。共同通信社の記者として、メガバンクや中央省庁等を担当、経済部次長、日銀キャップを歴任。現在は名古屋外国語大学教授、世界共生学科長。2014年に『マネー喰い 金融記者極秘ファイル』(文春文庫)で作家デビュー。本名の小野展克で『黒田日銀 最後の賭け』(文春新書)、『JAL 虚構の再生』(講談社文庫)など経済系のノンフィクションの著書多数。

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