日本企業で「ごますり野郎」と「ヒラメくん」ばかり出世する本当のワケ

年功序列と終身雇用はなぜ死なない…?
小野 一起, 冨山 和彦 プロフィール

会社が「ムラ社会」と化す

冨山 終身雇用と年功序列は、ある一定の条件下では極めて有効に機能したということですでしょう。逆に言えば、前提条件が変われば機能しなくなります。

オイルショックの時代からすでに激しい軋みが出始めていたけれど、海外からの評価もあって日本的経営の制度が強化された。そして経営者のマインドセットの中で、目的と手段がひっくり返ったんですよ。終身雇用と年功序列が「日本的経営」として目的化してしまった。これは非常に重要な点だと思います。

小野 終身雇用と年功序列によって会社が『ムラ社会』の基盤になってしまった。

〔photo〕iStock

冨山 そうなんですよ。日本的経営は、日本社会とは文化的な相性が良かった。もともと日本社会が持っているムラ社会的調和を優先して摩擦を好まない文化が、日本的経営と深く混じり合ってしまった。当然、日本にも海洋民族系の人はいて、そういう人は組織の中で常に文句を言っているわけですが、少数派です。大多数は、農耕民族社会になじみやすいタイプの人たちです。

小野 さきほど冨山さんが指摘された日本的経営が機能する「一定の条件」というのは具体的には何でしょうか。

冨山 基本的には人口が増えていて、労働者の増加が生産性の上昇と結びつきやすい状況というのがあるでしょうね。改善、改良をしてより良い製品にしていく努力を、個人ではなく集団でやることで機能するというのがポイントです。特に、製造業では顕著でしょう。

 

小野 三種の神器(白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機)や3C(自動車、クーラー、カラーテレビ)を改善して、より安価で使いやすい製品にしていくイメージですね。非連続を生み出すのではなく、巧に改良を繰り返していくという。