日本企業で「ごますり野郎」と「ヒラメくん」ばかり出世する本当のワケ

年功序列と終身雇用はなぜ死なない…?
小野 一起, 冨山 和彦 プロフィール

ジャパン・アズ・ナンバーワンの「真意」

小野 終身雇用、年功序列を制度的に担保した仕組みとして、企業別の労働組合も大きいですね。アメリカとかヨーロッパだと労働組合は産業別です。

冨山 確かに産業別の労働組合に加入している人たちは、「俺の仕事はエンジンの製造だ」「車体の塗装だ」という風に自分の仕事を捉えている。GM(ゼネラルモーターズ)が嫌だったらフォードに転職してでも、同じ仕事をできるという自負がある。しかし、日本のように企業別労働組合だとトヨタから日産には簡単には転職できない。結果として同一の会社の中に労働者がとどまり、労働市場は企業の中で内部化される。

〔photo〕gettyimages

言い方を変えると、簡単にクビにはならない代わりに、企業の中で職種や勤務地はどんどん変わる仕組みですね。東京の営業からアメリカの工場の生産管理に回ることもあれば、タイで人事を担当することもある。こうした日本型のメンバーシップ型の雇用は、企業別組合の仕組みと極めて相性がいい。これが「追いつけ、追い越せ」の高度成長期には適合したわけです。

アベグレンはボストンコンサルティンググループ(BCG)の設立に参加し、最初の海外拠点である日本の初代代表です。アベグレンは、「次は日本がくるぞ」と感じていた。そこでアメリカとは違う仕組みで、生産性を上げる日本企業の仕組みを合理的に解明したわけです。

 

小野 アベグレンの手で高度成長の原動力となった終身雇用、年功序列の効果が合理的に評価され、日本的経営と称された。これが、エズラ・ファイヴェル・ヴォーゲル(Ezra Feivel Vogel)が1979年に出した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(Japan as Number One)につながるわけですね。

高度成長期の目覚ましい成功を背景に、日本的経営が、海外から賞賛される流れが続いたわけですね。