NYクオモ州知事、トランプを圧倒…歴然たる「リーダーシップの差」

アメリカが差し掛かる「大きな分かれ道」
池田 純一 プロフィール

史上最大級の経済支援策が採択されるまで

もちろん、この「リオープン」発言については、同じ時期に連邦議会で、2兆ドル規模の緊急救済策のための法案が検討されていたことも影響していた可能性はある。この法案は、3月25日に上院を96-0の満場一致で採択され、下院も3月27日に通過した。

細かいことだが、この法案の審議においても、コロナウイルスが直接影響を与えており、上院の最終的な投票に、共和党の上院議員が4名、加わることができなかった。ランド・ポール議員(ケンタッキー州選出)がコロナウイルスに感染したことが判明し、彼と行動をともにしていたミット・ロムニー議員(ユタ州選出)とマイケル・リー議員(ユタ州選出)を含めた3人が、自発的な隔離を選択したからだ。加えて、ジョン・スーン議員(サウスダコタ州選出)も体調を崩し療養に入った。上院の規定では、議場にいない遠隔投票は認められないため、残った96名で採決が取られた。現在の上院は、共和党が53名、民主党(含むインディペンデント)が47名からなる拮抗状態にあり、ここで数名の離脱の影響は大きい。

実は、共和党からの欠席者は最終的には4名にとどまったものの、法案を検討している過程で他にも数名、自己隔離をしている議員がいた。それもあって、共和党はいつものように強行採決に踏み切ることができなかった。もっとも、65歳以上の高齢の議員も多く、今後、さらに感染に及ぶ議員が生じる可能性も否定できず、採決そのものに時間を費やす余裕もなかった。早急な対応という時間の急き立てから、上院の法案は、民主党の意向をかなり反映したものになったということだ。この緊急支援策は、民主党が多数派を握った下院での審議を経て大統領によって署名された。

こうして、アメリカ史上最大級の経済支援策が採択された。

 

トランプの「テキトー」さ

ところで、これまでトランプが「アメリカ・ファースト」と言ってこれたのは、仮にアメリカが世界に背を向けて籠城したとしても、アメリカの中で経済を回せる自信が、少なくとも彼にはあったからだ。だが、このコロナウイルスの災禍が、おそらくはトランプにとっても想定外だったのは、広大なアメリカ国内においてすら、たとえば州間移動に不都合が生じることで物流や流通にも影響が出てしまうことだった。その結果、巨大な財政出動に訴えるしかなくなった。

だがこうなると、もはやトランプをはじめとして共和党の政治家も、立派なソーシャリスト(社会主義者)だ。少なくともバーニー・サンダースのことを「社会主義者」と罵ることはできなくなった。他でもないトランプや共和党自体が、最大級の財政出動を求めたのだから。その意味では、日頃の共和党の「小さな政府」志向を覆すことも含めて、国家的危機であることを強調し「戦時大統領」であるとトランプは名乗ったのかもしれない。これは有事なのである、と。

そしてその上で、4月12日のイースター=復活祭を機に華麗に「アメリカ経済」の復活の狼煙を上げる、というのがトランプのシナリオだった。少なくとも、こうして悠然と構えた態度を示し続けることで、11月の大統領選を乗り切ろうと考えていたのだろう。

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