NYクオモ州知事、トランプを圧倒…歴然たる「リーダーシップの差」

アメリカが差し掛かる「大きな分かれ道」
池田 純一 プロフィール

このクオモの毅然とした態度に対しては、自称・戦時大統領のトランプに対する強烈な批判として、主には反トランプの民主党支持者たちから快哉があがった。コロナウイルス・ショックの結果、事実上、予備選を中断せざるを得なくなった民主党支持者たちからすれば、いまではクオモが、対トランプの民主党の顔となった感がある。

もっとも、事態の収束を最優先するクオモは、ホワイトハウスとの連携は必至であり、日頃の軋轢はとりあえず脇におき、協同してコロナウイルス対策にあたりたいと述べることも忘れない。だが、その姿勢がまた、むしろ戦時のリーダーらしいということで、ここに来てクオモ株は急上昇中だ。

クオモは、ニューヨーク州の現状を伝えるために毎日、会見を開いているが、そのファクトベースの落ち着いた説明と人命最優先の真摯な態度から、人びとの信頼を集めている。一方、トランプの方はといえば、緊急事態宣言以来、彼が報道機関の前で直接説明をする場面が増えたのだが、未確認の情報や誤った知識を勢いで口にしたり――たとえば有効性の不明な薬の名前をあげるなど――、あるいは発言に主観や憶測の混じった表現が頻繁に含まれたりするため、直後に専門家がその発言を訂正することが続き、ついには保守系のFoxを除いて、地上波の3大ネットワーク(ABC、CBS、NBC)は、トランプのブリーフィングの中継を途中で取りやめるという事態も生じた。事態の深刻さから、さすがに看過できなくなったためだ。

〔PHOTO〕gettyimages

そのような中で発せられたのが、トランプの「イースターのリオープン宣言」だった。

トランプは、戦時大統領を名乗った後に、コロナウイルスのことを「中国ウイルス」と呼んでいた。もともとの発症源が中国の武漢であったことへの憤りからだったのだが、しかしこのままアメリカの感染者数が拡大し続けたならば、むしろ、後日「アメリカ・ウイルス」と記録されてもおかしくはない情勢にあるのが現状だ。にもかかわらず、感染予防のために人びとが互いに安全な距離をとる「ソーシャル・ディスタンシング」をこれ以上続けていくとアメリカ経済が立ち行かなくなると、大統領自ら判断し、4月12日のイースター(復活祭)には、経済活動を「リオープン(再開)」させることを優先しようとした。今後、四季のサイクルの違いから、南半球諸国での感染拡大の可能性も懸念されているときにだ。

 

「戦々恐々」というのはこのためでもあり、実際に現場の緊急対応に追われる州知事とトランプの間での対応策をめぐる対立は絶えず、しかも必ずしも党派によらないものとなりつつある。緊急事態宣言を巡って、ミシガン州の民主党女性知事であるグレッチェン・ホイットマーとやりあう一方で、トランプと同じ共和党所属のマサチューセッツ州知事であるチャーリー・ベイカーからも、4月12日のリオープンは応じられないと発言された(ミシガン州は今では感染者数で、ニューヨーク、ニュージャージー、カリフォルニアに次ぐ第4位であり、マサチューセッツは第6位。いずれも増加傾向にある)。ここに来て政治家トランプの危機管理能力が問われる場面が増えている。

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