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NYクオモ州知事、トランプを圧倒…歴然たる「リーダーシップの差」

アメリカが差し掛かる「大きな分かれ道」

イースター再開宣言

アメリカは、今、戦々恐々としている。

コロナウイルスの感染が、まさに今、燎原の火のように拡大しているさなかにあるにもかかわらず、「戦時大統領(the Wartime President)」を自称するトランプ大統領が、無謀にも2020年4月12日のイースターには「ソーシャル・ディスタンシング」を始めとするコロナウイルス対策を緩和し、アメリカ経済活動を「再開(リオープン)」させると宣言していたからだ。

結局、このイースター再開宣言は、党派を問わず激しい批判を巻き起こし、3月29日になって、トランプの判断で4月30日まで延期された。けれども、その顛末は、文字通り、「戦々恐々」といっていいアメリカの現在を反映している。

アメリカは3月26日にコロナウイルスの感染件数が中国を抜き、4月1日の時点で、世界最多の206,233件となっており(ニューヨーク・タイムズの集計)、いまだにその抜本的な解決の目処は立っていない。

なかでも最大のホットスポット(感染者数が急速に拡大している地域)がニューヨーク州であり、アメリカの感染者数の半数近くを抱えている。そのため、州政府から緊急事態宣言や外出禁止令が出され、その結果、マンハッタンの摩天楼街は、いまやどこかの田舎のシャッター街のような寂れた姿を晒している。

いきなり対コロナウイルス最前線に立たされたニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモは、この緊急事態の収束に力を注ぎ、むしろ彼こそが「戦時の指揮官」として尊敬を集めつつある。なかでも彼を際立たせたのが、トランプとの歯に衣着せぬ丁々発止のやり取りだ。

アンドリュー・クオモ 〔PHOTO〕gettyimages
 

ニューヨークでは、あまりに急速に感染が広がったため、病院に担ぎ込まれた感染者への治療に必要なベンチレーター(人工呼吸器)の数が不足してしまい、その調達の協力をホワイトハウスに要請せざるを得なかった。だがホワイトハウスの対応は全く真剣味に欠けており、万単位の感染者が出ているにもかかわらず、当初はわずか400しか送ることができないと返答され、さすがにクオモも「戦時大統領を名乗るなら戦時大統領らしくふるまえ」と憤りを顕にした。

つまり、米軍指揮官(Commander-in-Chief)である大統領が、わざわざ「戦時大統領」を名乗り、このコロナウイルスの災禍を戦争だと言っているにもかかわらず、どこに最前線があるかも知らず、どこに兵站を確保すればよいかも判断できないとは何事だ? という糾弾だ。結局、このベンチレーター問題については、トランプの方が折れて、クオモの要請通り、国防製造法(The Defense Production Act)の下、GMに製造を命じることで、さしあたっての決着が図られた。