今さら訊けない「ニューラルネットワークって何ですか?」に答えます

連載3回「AIブームの次にくるもの」
松田 雄馬 プロフィール
図3 ニューラルネットワークの概念図

神経細胞(ニューロン)のこの性質に着目し、神経細胞を、0か1のいずれかの値を取るものとして、モデル化(アルゴリズム化)し、それをさらにネットワーク化したもの(図3)が、現在、我々が「ニューラルネットワーク」と呼んでいるものである。

ただし厳密には、脳の神経細胞のネットワークもまた「ニューラルネットワーク」と称するので、人工的にモデル化したものは、「人工ニューラルネットワーク」と称される。

「ニューラルネットワーク」研究の歴史

以上のしくみを使って「学習」の精度を高めていったのが、「ニューラルネットワーク」研究の歴史である。

「ニューラルネットワーク」研究は、これまで、3回の「ブーム」を経験しており、そのそれぞれで、現在の「人工知能ブーム」のように、人智を超える機械の登場への期待と不安が入り混じっていたと言われている。

ここでは、「ニューラルネットワーク」の「学習」というものが果たしてどのようなものなのかについて、特に重点的に、概念的に説明する。それが私たち人間の「学習」と何が類似していて、何が異なるのかを注意深く見ていただきたい。

 

まず、最初のブームは、1958年に米国の心理学者フランク・ローゼンブラットが「パーセプトロン」という名の「ニューラルネットワーク」を発明したことに端を発する。

ローゼンブラットらが発明したパーセプトロンとは、線形識別関数により、入力されたデータを2クラスに分類するというものである。

図4 リンゴとミカンを「学習」

図4を用いて説明すると、リンゴの画像とミカンの画像を「入力層」に入力し、その2種類の画像が異なるものであることを「学習」すると、新たな画像が入力されたときに、その画像がリンゴであるか、ミカンであるかを「予測」することができる、というものである。

このパーセプトロンの動作を、ごくごく単純な例を用いて表すとどうなるか。図5と図6を見ていただこう。

図5 リンゴの「学習」
図6 ミカンの「学習」

まず、リンゴ画像を「入力層」に入力するとする。たとえば、画像内の画素1つ1つの情報を、入力層の「ニューロン」に写す、という方法がよく行われる。カラー画像だとわかりにくいので、いったん白黒にして、白い画素を「発火ニューロン」として、黒い画素を「非発火ニューロン」として扱う、といった方法がよく採用される。

そして、さまざまなリンゴ画像に対して、図5のように、あるニューロンが必ず「発火」していたとする。すると、入力層のそのニューロンと、出力層のある1つのニューロンを繋いで「リンゴ細胞」とすれば、リンゴ画像が入力されれば、必ずその「リンゴ細胞」が出力されることになる。

同様の作業を図6についても行うことで、今度は「ミカン細胞」を作ることができる。実際には、リンゴとミカンの差異が最も明確になるように、(線形識別関数を用いて)入出力層の間の結合を調整していくのだが、ごくごく単純には、このような作業をする。

いま「作業」と表現したが、これでは何が「人工知能」なのか疑わしい、と思うかもしれない。