紙とペンで宇宙を見る「理論物理学者」はいつも何を考えているのか

「宇宙の根源」を解く新理論が見えた!
新版・窮理図解 プロフィール

数学に明け暮れた中・高時代

──どんな子ども時代を過ごされたのですか?

滋賀県で生まれて、名古屋、大阪で育ちました。3人の男兄弟の一番下で、兄たちにだいぶ鍛えられましたね。サッカーの相手をさせられて、一生懸命にボールを追いかけていたのを覚えています。

中学・高校時代は数学にのめり込み、難しい問題に出合いたくて、雑誌の懸賞問題などを解いていました。特に『大学への数学』という雑誌でピーター・フランクルさんが出していた“宿題”は、中高では習わない難しい問題ばかりでした。

銀座の歩行者天国でジャグリングを披露するピーター・フランクル氏 Photo by Takanori Nakanowatari / Flickr

高校2年生の時には、東京大学の駒場キャンパスで行われたピーターさん主宰の数学の講義(合宿)に参加し、事務所に泊めてもらいほかの参加者と一緒に勉強しました。東京に出てきたのは、東京大学で数学を勉強しようと思ったからです。

東京大学駒場キャンパス Photo by iStock

──やはりその合宿には、数学の猛者が集まっていたのですか?

私は大学で物理学に進んでしまったので、合宿の参加者とのつながりはなくなってしまいました。ただ最近調べてみたら、京都大学数学科の准教授になっている人や、理化学研究所(理研)で診断や治療のための人工知能の研究をしている人がおり、皆さんそれぞれの世界で活躍しているようです。

2012年から約1年半の間ポスドクとして在籍したメリーランド大学では、合宿に参加した人に偶然に会いました。その方は博士号を取りに来ていたのですが、大学では流体力学に興味をもったことをきっかけに地球惑星物理学科に進んだそうです。

 

彼はその後、気象庁に就職され、流体力学の数値シミュレーションに基づく天気予報の精度を上げるべく研究されています。世の中は狭いなと思いましたね。

宇宙を知るために物理を選択

──そんなに好きだった数学ではなく、物理の道に進んだのはどうしてでしょうか?

高校までの物理は公式を使って計算するイメージでしたが、大学で改めて「量子力学」や「相対性理論」を学ぶと、宇宙や素粒子のことなど自然界の成り立ちがわかるのだと知りました。これが数学から物理へと進路を変更したきっかけです。