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新型コロナでいよいよヤバくなる日本株、日銀は「債務超過」に陥るか

海外の専門家はこう見ている

政府+日銀=統合政府

新型コロナウイルスにより、世界中で突然の金融不安が高まっている。

こうしたなか懸念の声が上がっているのは、日本株を買い支えてきた日銀の「債務超過」の可能性だ。かつてないほどに日本の株式市場が落ち込んでしまった場合、日銀はどのような状況に追い込まれるのか。

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債務超過になったら、日銀は破綻し、金融政策ができなくなってしまう――。そう危機感を煽るメディアもあるが、結論から言えば、日銀が債務超過になっても何かが起こるわけではなく、金融政策の遂行には問題ない。

もう少し突っ込んで言えば、さしずめ日銀の「親会社」である政府が潰れない限りは大丈夫だ。

 

日銀の債務超過への「誤解」はかなり前からあった。15年以上昔の話だが、ローレンス・サマーズ元米財務長官は、日銀関係者からこの話がでたとき、一言「So what?」(それがどうかしたのか)とあきれて返答したことがあった。

本コラムではたびたび触れているが、政府と中央銀行を合算した「統合政府」の考え方が重要だ。民間でいえば、グループ合同で決算を行うのと同じで、日銀の資産である株式の損益は、グループ決算、つまり日銀を含めた政府全体の決算で決まる。

中央銀行の株式購入は、カネ(現金)を刷って行われる。紙幣を印刷するコストはほぼゼロなので、刷れば、そのまま通貨発行益になる。

ちなみに、この通貨発行の原価と額面との差を「シニョレッジ」という。そして、中央銀行による株式購入額はシニョレッジの範囲内になっている。

実際の日銀会計でも利益のほとんどは通貨発行益だ。つまり、日銀は株式の損を通貨発行益の一部で賄うことができ、今回のような株安が起こったからと言って、債務超過に陥ることはないのだ。

サマーズ氏と同様に、バーナンキ元FRB議長が来日した時も、メディアから「日銀の債務超過の懸念はないのか」との質問があった。バーナンキ氏は「どうしても心配なら政府と日銀の間で損失補填契約を結べばいいが、そんな心配は無用だ」と答えた。

 

この議論は、日銀の保有する株式に関するものであるが、国債の損失においても同じことが言える。では、だれが日銀の債務超過論を言いふらすのかといえば、他ならぬ日銀や財務省だ。

日銀は、金融政策の遂行主体であるほか、金融システムの監督として金融機関を指導する立場だ。日銀は、金融システムの維持のためには金融機関の健全性が重要だと言う。その日銀自身が債務超過というのは、いかにもかっこ悪い。

財務省としても、日銀の財務が悪くなれば、日銀へ増資しなければならず、逆に日銀からの納付金収入が少なくなる。だから、日銀の債務超過は避けたいのだ。

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中央銀行が債務超過になっても金融政策は変わらないというのが世界の常識だ。世界の碩学であるサマーズ氏やバーナンキ氏からすれば、日銀をめぐる答弁は滑稽なものだっただろう。

日本のエリートとされる日銀や財務省のトップも、海外の専門家からは笑いのタネになっているわけだ。

「週刊現代」2020年3月21・28日号より

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