4月 3日 葉酸の日

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

2018年、日本先天異常学会が、4(よう)3(さん)という語呂合わせから4月3日を「葉酸の日」と制定しました。

葉酸はビタミンB群に属する水溶性ビタミンの一種で、DNA・RNA の生合成、細胞分裂に必要であり、また赤血球を作るのにも欠かせません。

葉酸の存在が明らかになったのは20世紀半ばであり、その発見者の1人としてイギリスの女性医師ルーシー・ウィルズ(Lucy Wills、1888-1964)が挙げられます。

彼女は1920年代にインドのボンベイ(Bombay、現ムンバイ)で妊婦の悪性貧血を調査していました。その研究により、マーマイト(Marmite)というイギリスの食品に悪性貧血を予防する物質が含まれていることが判明します。

 

この物質はアカゲザルに対しても同じ効能を示し、「Monkey」の頭文字から「ビタミンM」と名付けられました。同じ時期、鶏の悪性貧血を研究していた研究者たちも独立して同じ物質が貧血を予防することを発見します。

そしてその物質がホウレンソウにも含まれることを発見し、一般に「葉酸」という名で呼ばれるようになりました。

このように貧血に効果がある葉酸ですが、現在では神経管閉鎖障害という胎児の病気に対する効果も知られています。「葉酸の日」も、妊娠を予定する女性に葉酸を摂取するようメッセージを発信するために制定されました。

妊娠6週目ごろ、赤ちゃんの脳や脊椎のもととなる神経管が完成します。これがうまく閉じないことで起きる障がいを神経管閉鎖障害といい、しばしば流産を余儀なくされます。脊椎が通り道となるはずの部分から外れる二分脊椎や大脳に欠損がある無脳症など、赤ちゃんが大きな先天的障がいを背負うことになるからです。

無脳症のため知能の発育が遅れ、肉親からの中傷に苦しむ少年 Photo by Getty Images

しかし、この障がいのリスクは、妊婦が妊娠4週間前から妊娠12週にかけて毎日4mgの葉酸サプリメントを摂取することで3分の1以下に抑えられることが分かりました。

このことから日本先天異常学会は、妊娠中と考えられる女性や妊娠を計画する女性に葉酸サプリメントの摂取を呼びかけています。サプリメントでの摂取は、食品からの摂取に比べて葉酸が有効に利用される割合が35%ほど高いことが特徴です。

葉酸サプリメントの一種 Photo by iStock

サプリメント以外では、牛肉や豚肉のレバー、菜の花、ブロッコリー、ホウレン草といった食品に葉酸が多く含まれています。また、厚生労働省も妊娠を計画する女性に葉酸を多く含み栄養バランスの取れた食事を取ることを推奨しています。

一方で、妊娠とわかったときには神経管はすでに完成に近づいていることから、パートナーと家族計画を立てておくことも重要だといえるでしょう。